労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでおり、3領域10テーマの労災疾病等医学研究・開発に取り組んでいます。

「労災疾病等医学研究普及サイト」には、各研究テーマの研究計画の概要を掲載していますので、ぜひご覧ください。
http://www.research.johas.go.jp/index.html

今回はその中で「職業関連癌」についてのご紹介です。
https://www.research.johas.go.jp/shokugyo2018/index.html

膀胱癌は遺伝的素因とともに職業・環境因子が重要とされる疾患です。このため、当機構の病職歴調査で取得した情報を用いて職業歴、喫煙や飲酒、生活習慣病といった環境因子を解析するとともに、膀胱癌の患者さんの血液ゲノムを解析し、SNP(遺伝子の配列が普通の配列と異なる現象)が膀胱癌の発生、悪性度、病期に与える影響を解明することにより、膀胱癌の早期発見や労働作業環境の改善につなげ、勤労者ひいては国民に対する膀胱癌対策の推進に貢献するための研究を行っています。

網羅的に関連性が示唆される遺伝的要因を探索し、喫煙、飲酒、職業・産業分類などの膀胱癌の発生に寄与すると考えられる環境因子も説明変数に入れて、GWAS、gene-wise解析を行った結果、膀胱癌・尿路上皮癌と関連する一塩基遺伝子多型(SNP)、遺伝子が浮上しました。これについて病理学的解析を実施しました。

本研究でデータ利用している病職歴調査について詳しくはこちら
http://www.research.johas.go.jp/bs/index.html