山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン(厚生労働省)
厚生労働省では、災害の発生状況を踏まえ、切羽における肌落ち災害防止対策をより一層推進するため、新たに発注者等が講ずべき措置等を盛り込み「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」を改正しました。(厚生労働省)
背景・目的
山岳トンネル工事(火薬類を爆発させ地山を破砕して掘削する工事。このほか、トンネル工事にはカッターを回転させて掘削するシールドトンネル工事など)では、トンネル掘削の最先端で地山が露出している部分(切羽)において、トンネルの掘削面から岩石等が落下する災害(肌落ち災害)が散見されています。
これらの災害では、
- ロックボルト(トンネル掘削面から地山内部に放射状に穿(せん)孔された孔に挿入された鋼棒)の施工が十分でなかったこと
- 地山の状況に応じた工法や建設機械(ドリルジャンボ)の選定が適切ではなかったこと
- 現場の地山の状態に応じた設計変更等の措置が十分でなかったこと
等が認められています。
厚生労働省では独立行政法人労働者健康安全機構安全衛生総合研究所に検討を依頼し、切羽における肌落ち防止対策の提言をいただき、必要な対策を新たにガイドラインに盛り込み公表しました。
参考:山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に関する検討会報告書(令和5年3月)
主な改正内容
- 発注者等が講ずべき措置の新設
設計段階における適切な支保パターン(地山の分類と支保部材の選定を組み合わせたもの)の選定や鏡吹付け(切羽の垂直面にコンクリートを吹き付けること)の実施、施工段階において設計変更に係る施工者との協議等を行う。【第4「事業者等の責務」関係】 - 切羽の立入に関連し特段の配慮を必要とする範囲の新設
切羽(天端)からの45度の範囲を特段の配慮を必要とする範囲とし、可能な限り立入りを避ける。【第6「事業者が講ずべき措置」の1「切羽の立入禁止措置」関係】 - 地山の状況に応じた支保パターンの選定(設計変更)
事業者が現場で出現した地山の状況に応じ適切に支保パターン等を選定できるよう、発注者と必要な情報等を共有の上、十分協議し連携して取り組む。【第6「事業者が講ずべき措置」の5「施工時の留意事項」(1)関係】 - 適切なドリルジャンボの選定及び速やかなロックボルトの施工
掘削断面形状等に適合したドリルジャンボを使用するとともに、ロックボルトの施工についても事業者の施工サイクルに従い速やかに一間ずつ行う。【第6「事業者が講ずべき措置」の5「施工時の留意事項」(3)関係】 - 鏡吹付けの原則実施
切羽の自立が悪い場合においては鏡吹付けを原則実施する。【第7「具体的な肌落ち災害防止対策」の2「肌落ち災害防止対策の選定」(2)等関係】 - その他
最新のデジタル技術等も活用し、各種作業の遠隔化・自動化、各種センサー等を活用した監視・検知等の取組を積極的に進めること。