架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんの製造事業場で発生した肺障害

今般、国内の化学工業製品製造工場において、化粧品や医薬品に用いられる架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんを取り扱う複数の労働者から、肺組織の線維化などの呼吸器疾患が生じたとして労災請求がなされた。

当該アクリル酸系ポリマーの吸入性粉じんについては、国際的にも肺に対する有害性が報告されておらず、現時点では呼吸器疾患の発生機序等が明らかにされていない。

そこで、労働者が従事した業務と肺障害発症との因果関係について専門的な見地から検討するため、厚生労働省大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)が、産業中毒学、疫学、呼吸器内科学、労働衛生学の専門家に参集を求め、意見を徴し、当該事案への的確な対応を図ることとする。(厚生労働省)

詳細

石綿に係る疾病

石綿による疾病の業務上外の判断については、平成18年2月9日付け基発第0209001号「石綿による疾病の認定基準について」に基づき行うこととしている。認定基準では、認定要件の一部を満たしていない場合等には、本省に協議することとされているが、石綿に係る労災請求の増加や「石綿による健康被害の救済に関する法律」の施行に伴い、協議が増加しており、かつ、その内容も高度な専門的知見を必要とするものが多くなっている。

このため、これらの協議事案に専門的かつ的確に対応すべく、厚生労働省労働基準局長が、石綿に係る疾病等に精通した専門家に参集を求め、医学上の意見を徴し、協議事案への的確な対応に資する。(厚生労働省)

電離放射線障害

放射線業務従事者に発生した疾病の労災認定に当たっては、昭和51年11月8日付け基発第810号「電離放射線に係る疾病の業務上外の認定基準について」に基づき、その処理を行っているところであり、認定基準に定めていない電離放射線障害については、本省りん伺事案として取り扱われているところである。

今般、多発性骨髄腫を発症したとして、原子力発電施設で放射線業務に従事していた労働者から労災請求された事案について、福島労働局長より本省労働基準局長に対し、りん伺されたところである。

ついては、当該事案について業務上による疾病か否かの判断を行う必要があることから、「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」を開催し、業務上外の判断に係る医学上の意見を求めるものである。(厚生労働省)

印刷事業場で発生した胆管がん

大阪労働局管内の印刷事業場でインクの洗浄作業等に従事した労働者等から、使用した有機溶剤等の化学物質が原因で胆管がんを発症したとする労災請求がなされ、このことが大きく報道されたことから、他の労働局でも胆管がんに係る労災請求がなされている状況にある。

業務上疾病のうち「がん」については、労働基準法施行規則別表第1の2第7号及び同表第10号に基づく告示に列挙されているが、胆管がんはこれらの列挙疾病には該当せず、また、過去にも認定した事例はないことから、都道府県労働局で業務起因性の判断を行うことは困難である。このため、昭和53年3月30日付け基発第186号「労働基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について」の記の第3の1により、りん伺の上、厚生労働本省で対応する必要がある。

そこで、労働者が従事した業務と胆管がん発症との間の因果関係について専門的な見地から検討するため、厚生労働省労働基準局労災補償部長が、衛生学、公衆衛生学、内科学、病理学、化学、労働衛生工学の専門家に参集を求め、医学上の意見を徴し、当該事案への的確な対応を図ることにする。(厚生労働省)

詳細

塩化ビニル障害

詳細

芳香族アミン取扱事業場で発生した膀胱がん

今般、福井労働局管内の化学工業製品製造工場において、染料・顔料の中間体を製造する過程で、オルト-トルイジン等化学物質を取り扱う業務に従事した労働者等から、使用した化学物質が原因で膀胱がんを発症したとして労災請求がなされた。

がん原性を有する化学物質を取り扱う業務に従事した者に発症した尿路系腫瘍(膀胱がんを含む。)については、労働基準法施行規則別表第1の2第7号及び同表第 10 号に基づく告示(以下「別表等」という。)に個別の原因物質名を列挙しており、昭和 51年8月4日付け基発第 565 号「芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の認定基準について」(以下「通達」という。)に基づき業務上外の判断を行っているところであるが、オルト-トルイジンを取り扱う業務による尿路系腫瘍については、別表等に明記されておらず、前記通達の記の3により、りん伺の上、厚生労働本省においてその因果関係を判断する必要がある。

そこで、労働者が従事した業務と膀胱がん発症との因果関係について専門的な見地から検討するため、厚生労働省大臣官房審議官(労災、賃金担当)が、医学、化学、労働衛生工学の専門家に参集を求め、意見を徴し、当該事案への的確な対応を図ることとする。(厚生労働省)

詳細