相談員便り
熱中症の予防対策について(田口豊郁相談員)
2026年の夏は、記録的な猛暑だった昨年(2025年)に匹敵、あるいはそれを上回るほどの厳しい暑さになる可能性が高い――
①前年同様、梅雨明けが早く猛暑の到来が早い
②近年に匹敵する顕著な高温の可能性も
③夏の後半は台風の影響を受けやすい
――と予測されています。今年も40℃級の危険な暑さに警戒が必要となりそうです。
日本気象協会の予測によると、2026年は全国の延べ7〜14地点で40℃以上の「酷暑日」が観測される見込みです。昨年2025年ほどの多さではないものの、近年の記録的な高温に次ぐレベルの暑さになる可能性があります。企業にとって40℃以上の酷暑日は「異常気象」ではなく、「事前に対策すべきリスク」となっています。
今年も昨年と同様、「令和8年『STOP!熱中症クールワークキャンペーン』の実施」が厚生労働省から発表されました(実施期間:令和8年5月1日から9月30日)。
周知、啓発に当たっては、
- 湿球黒球温度の値(WBGT値)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること
- 熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、「早期発見のための体制整備」、「重篤化を防止するための措置の実施手順の作成」、「関係作業者への周知」を行うこと
- 糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮を行うこと
――について、特に重点的に呼びかけることになっています。
(厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/coolwork_2026.html )
労働安全衛生規則の「第5章温度及び湿度」に、「第612条の2(熱中症を生ずるおそれのある作業)」が追加されました(R7年4月15日改正、6月1日施行)。
基本的な考え方として、【見つける】⇒【判断する】⇒【対処する】という流れで、「熱中症・熱中症の恐れがある労働者」を発見した場合、迅速かつ的確な判断・対処が可能となるように、①「体制整備」、②「手順作成」、③「関係者への周知」が事業者に義務づけられました。
厚生労働省の「職場における熱中症防止のガイドライン」および「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、WBGT値(暑さ指数)を活用し、労働衛生の三管理の3つの軸で管理することを基本としています。
すなわち、事業者は、
①作業環境管理(「暑さ」を避ける)、
②作業管理(「負担」を減らす)、
③健康管理(「体調」を確認・見守る)
――ことのできる管理体制を構築し、予防対策を確実に実施することが必要です。
ガイドラインには「休憩」と言う言葉が出てきますが、現場では「自分だけ休むのは申し訳ない」という心理が働きがちです。「体調が悪い、疲れた、休みたい」と言い出しにくい空気を打破(心理的安全性)することが重要でしょう。
リーダーが「全員一斉に15分休止」と強制的に号令をかける、あるいは「体調不良を申し出た人を評価する(リスク回避能力として認める)」といった文化を作ることが重要です。
労働者が疲労している状態では、熱中症に罹りやすくなります。それだけではなくヒューマンエラーも増え、労働災害につながります。
熱中症に限らず、労働者個人一人ひとりが疲れたら、
①休む(個人レベル:知識・行動・リテラシー)、
②休める(職場レベル:職場の空気・心理的安全性)、
③休ませる(国レベル:法律・ルール)
――ことが重要だと考えます。
■田口相談員について
https://okayamas.johas.go.jp/consultation/advisor-profile/#taguchi_toyohiro
研修会のご案内
研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/training/
産業医研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/category/training/ipt/
「産業保健21」が発行されました
https://okayamas.johas.go.jp/21-124/
情報誌『産業保健21』は、産業医をはじめ、保健師・看護師、労務担当者等の労働者の健康確保に携わっている皆様方に、産業保健情報を提供することを目的として、独立行政法人 労働者健康安全機構が発行しています。
特集:職域におけるがん対策
■労働衛生対策の基本:女性の健康課題とその対応
■産業医に聞く:失敗の回避から、成長と発達へ
企業文化の変革でレジリエンスと自律を育む
■判例:信金職員の自死に業務起因性を認め、葬祭料の不支給処分を取消した事案
国・瀬戸労基署長(東濃信用金庫)事件
■長時間労働対策のヒント:深夜の突発対応、翌日は休み!
無理のない働き方へ仕組みを整備
■研究紹介:労働環境をまもる・はかる吸着材料の科学
など
安全衛生対策の推進等について(厚生労働省労働基準局)
■令和8年度における林業の安全衛生対策の推進について
林業における令和7年の死亡災害の発生状況を見ますと、令和8年2月の速報値で25人となっており、前年同期と比較して5人の減少となっています。
更なる死亡災害の減少のため、労働災害防止対策の一層の推進が強く求められています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001681195.pdf
■令和8年度における建設業の安全衛生対策の推進について
昨年の建設業における労働災害発生状況を見ると、死亡者数(令和8年2月速報)は 209 人となっており、前年同期の 223 人と比べ 6.3%程度減少となるものの、全産業(665 人)に占める建設業の割合は 31.4%と、依然として業種別で最も高い割合となっています。
労働災害の着実な減少に向け、各種措置の履行確保に加え、実効ある安全衛生対策を推進することが求められています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001682858.pdf
■労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令等(個人事業者等関係)の施行について
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001682840.pdf
■航空機乗務員の宇宙放射線被ばく管理に関するガイドライン
https://www.nra.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html
(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのご案内~令和7年度 障害者の就労支援に関する新刊発行のお知らせ~
JEEDでは、障害者の就労支援に関する6本の調査研究報告書及び3本のマニュアルを公開しました。
「障害者雇用の質の向上に向けて」※1では、業務マッチングや評価・処遇、キャリア形成の観点から、雇用の質向上のポイントを整理しています。
「就労支援のためのアセスメントシート活用ガイド」※2では、評価項目の選び方や評価結果を支援計画につなげるポイントを紹介しています。
「中高年齢障害者の雇用継続・キャリア形成支援に関する事例集」※3では、加齢や健康状態の変化に対応した職務調整や環境整備など、企業の取組事例を紹介しています。 企業への支援や助言の参考としてご活用ください。
※1 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai86.html
※2 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai87.html
※3 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai88.html




