最新情報・詳細は、伐木作業・林業における安全対策(厚生労働省)
令和7年度における林業の安全衛生対策の推進について(厚生労働省)
厚生労働省では、従前より、労働安全衛生関係法令に基づく対策の徹底、自主的な安全衛生活動の促進等により林業における安全対策を推進してきたところですが、第14次労働災害防止計画の内容も踏まえ、令和7年度における林業の安全衛生対策の推進に係る留意事項を取りまとめました。
(本文)令和7年度における林業の安全衛生対策の推進に係る留意事項
1 第14 次労働災害防止計画に基づく対策の推進
林業では伐木作業等における「激突され」等、業種に特有の死亡災害が多く発生している(令和6 年の労働災害による死亡者数は、令和6年3月速報値で27 人(別添1 ))。
第14 次労働災害防止計画(以下「14 次防」という。)において、林業は、業種別に労働災害防止対策を推進する業種のーつとされ、引き続き労働災害の一層の減少を図り、特に死亡災害の大幅な削減に向けて取り組むこととされている。
厚生労働省(都道府県労働局、労働基準監督署含む)、関係行政機関、関係団体等は、連携の上、事業者に対する関係法令の遵守の徹底、関係のガイドライン等に基づく対策の強化等を通じ、労働者の安全衛生の確保に必要な役割を果たすとともに、14 次防の目標である死亡者数の15%以上の減少に向け真撃に取り組むことが重要である。
このため、令和7年度においては、次の措置が着実に講じられるよう取り組むこと。
① 伐木作業及び車両系木材伐出機械の運転等に係る労働安全衛生規則(昭和47 年労働省令第32 号。以下「安衛則」という。)に基づく措置(別添2、3)
② 「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」(平成27 年12 月7日基発第1207 第3 号。以下「伐木等作業の安全ガイドライン」という。)(別添4 )に基づく措置
③ 「林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン」(平成6 年7月18 日付け基発第461 号の3。以下「林業の緊急連絡体制整備ガイドライン」という。)(別添5 )に基づく措置
2 伐木等作業における安全衛生対策の推進
伐木作業等の安全対策について、小規模事業場における労働災害が多い状況にも留意し、安衛則に基づき、立木の伐倒時の措置及びかかり木処理の禁止事項の徹底を図るとともに、下肢を保護する防護衣の着用、木材伐出機械等の安全対策の徹底等を図ること。
また、伐木等作業の安全ガイドライン及び林業の緊急連絡体制整備ガイドラインを関係事業者に対して一層積極的に周知するとともに、安全衛生教育等の機会を活用し、作業員に対して作業時の遵守事項、留意点等必要な事項を改めて教示すること等により、作業現場におけるガイドラインの普及、定着及びその徹底を図ること。
さらに、車両系木材伐出機械の運転等に当たっては、安全衛生関係法令の遵守等により、伐木等作業の安全を推進すること。
チェーンソー作業については、「チェーンソー取扱い作業指針について」(平成21年7月10 日付け基発0710 第1号。以下「チェーンソー指針」という。)(別添6)及び「騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について」(令和5年4月20 日付け基発0420 第2号)(別添7 )に基づく振動障害予防対策及び騒音障害防止対策の徹底を図ること。
熱中症予防対策については、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を令和7年度も5 月から9 月まで実施することとしているので、実施要綱に基づき重点的な対策の徹底を図ること。特に、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより重篤化を防止するため「報告体制」、「手順作成」、「関係労働者への周知」を実施すること。
3 安全衛生教育の推進
労働者に対する安全衛生教育等を的確に実施するとともに、令和3年3 月17 日付け基発0317 第2 号「チェーンソーを用いて行う伐木等の業務(労働安全衛生規則第36 条第8号の業務)従事者安全衛生教育について」(別添8)に留意の上、概ね5 年ごとに労働者が労働安全衛生法(昭和47 年法律第57 号)第60 条の2 に基づく能力向上教育を受講できるよう、あらゆる機会を通じて事業者及び労働者に周知すること。発注者等においても必要な配慮を行う等により、安全衛生教育の機会を確保すること。
また、チェーンソー作業に係る安全衛生教育の実施に当たっては、チェーンソー指針等に基づく、「日振動ばく露量A(8)」をもとにした作業時間の管理等に関する内容も含んだものとなるよう留意すること。
さらに、厚生労働省が令和6 年度に作成した林業分野の外国人労働者向け安全衛生教材(別添9)を事業者に周知し、外国人を雇用する際等における活用を勧奨すること。
4 チェーンソーによる伐木等作業に係る安全対策講習会への参加勧奨について
厚生労働省委託事業により、チェーンソーによる伐木等作業に係る安全対策講習会を開催する予定であり、講習会では実技の時間を設定し、実機を用いて安全のポイントについて理解し習得できるようにしている。事業者に対して本講習会を周知する等により、事業場の安全担当者等の参加促進を行い、労働安全衛生法令及び伐木等作業の安全ガイドライン等の周知とこれに基づく措置の徹底を図ること。
5 関係行政機関の連携の強化
林業の安全衛生対策を推進する上で、厚生労働省、林野庁、都道府県林務部局等の関係行政機関が連携をすることは極めて重要である。このため、関係行政機関が連携・協力し、関係機関連絡会議の開催、合同パトロールの実施等の取組を進めるとともに、労働災害の発生を迅速に関係機関で共有する等、労働者の安全と健康を確保するために必要な措置が確実に講じられる環境づくりを進めること。
6 関係行政機関と林業・木材製造業労働災害防止協会等との連携の強化
林業・木材製造業労働災害防止協会は、厚生労働省補助事業等により地域の実態等に即した取組を進めるとともに、関係団体等と効果的な連携を図り、林業の安全対策を推進することとしている。
具体的には、令和7 年度も伐木作業における安全水準の向上等を図るため、安全管理士が関係行政機関等の協力を得つつ、現場パトロール等を行うとともに、伐木等作業及び車両系木材伐出機械作業に関する作業計画の適切な作成のための講習会を行う予定であるので、パトロールへの参加や講習会の参加勧奨等を通じて林業・木材製造業労働災害防止協会の都道府県支部等との連携を強化すること。
7 発注者における取組
労働災害の防止のためには、事業者による取組のみならず、発注者においても、事業の期間(契約期間)、作業方法、発注金額等が安全で衛生的な作業の遂行を損なわないよう十分配慮することが重要であることから、発注者は、事業を受託する者が安全と健康を確保するための措置を確実に講じられるよう安全衛生対策経費の確保をはじめ必要な取組を進めること。
別添
- 別添1 2024年の林業における死亡災害の事例
- 別添2 伐木作業等の安全対策の規制が変わります!~ 伐木作業等を行うすべての業種が対象 ~
- 別添3 平成26年6月1日に、改正「労働安全衛生規則」が施行され、木材伐出機械等も規制の対象になりました
- 別添4 チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドラインについて
- 別添5 林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドラインについて
- 別添6 チェーンソー取扱い作業指針について
- 別添7 騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
- 別添8 チェーンソーを用いて行う伐木等の業務(労働安全衛生規則第36条第8号の業務)従事者安全衛生教育について
- 別添9 自分人を守るための約束 安全に林業を