詳細は、「船員の健康確保に関する検討会」(国土交通省)にてご確認ください。

船員法施行規則等の改正(船員の健康確保)

船員の心身の健康確保を図るため、「船員の働き方改革の実現に向けて」(令和2年9月船員部会取りまとめ)及び「船員の健康確保に向けて」(令和2年10月 船員の健康確保に関する検討会取りまとめ)を踏まえ、陸上における取組も参考にしつつ、船員法施行規則等について所要の改正を行う。

船員派遣の場合において、派遣元・派遣先のどちらに下記①~④の規定が適用されるかについて、陸上の派遣制度の適用関係を参考にしつつ、明確化する。

公布日:令和4年4月15日
施行日:令和5年4月1日

主な改正内容は以下の通り。

①産業医の導入
(産業医の選任)

  • 常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に対し、船員の健康管理等を行う産業医の選任を義務付け。
  • 産業医の業務を、陸上制度と同様に、船員の健康管理等の医学的サポートとする。
  • 船舶所有者は、産業医に対し、年1回以上の船内巡視や、月1回以上の衛生担当者等による巡視の報告等により、船内の作業環境・衛生状態を把握させ、船員の健康障害を防止するために必要な措置を講じさせなければならない。
  • その他の船舶所有者についても、医師等に船員の健康管理等を行わせるよう努めることとする。

②健康診断のあり方
(健康検査の結果に基づく船員の健康を保持するための措置)

  • 健康検査の項目について、健康管理の観点から、貧血検査等を追加する等の見直しを行う。【船員法施行規則の改正】
  • 常時使用する船員に対し、船舶所有者の負担により、健康検査における医師の診断の結果が記載された書面を船舶所有者へ提出させることを義務付け。
  • 船舶所有者に対し、船員から提出のあった書面の保存を義務付け(5年間)。
  • 船舶所有者に対し、健康検査で異常が認められた船員の健康を保持するため、医師の意見を聴き、その内容を記録・保存することを義務付け。
  • 船舶所有者に対し、医師の意見を勘案し、就業上の措置(※)を講じることを義務付け。
  • 船舶所有者は、健康検査で異常が認められた船員に対し、保健指導を行うように努めることとする。
  • 船舶所有者は、騒音の激しい作業を行う船員に対し、オージオメータによる聴力検査を受けさせるよう努めることとする。

③過重労働対策
(長時間にわたる労働に関する面接指導)

  • 常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に対し、1週40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1ヶ月80時間を超え、かつ、疲労蓄積が見られる船員への医師による面接指導の実施を義務付け(船員の申出に基づき実施)。
  • 船舶所有者に対し、面接指導の結果に基づき医師の意見を聴くほか、当該意見を勘案し、必要に応じて、面接指導を受けた船員に対する就業上の措置(※)を講じることを義務付け。
  • 船舶所有者は、面接指導を行う船員以外の船員であって、健康への配慮が必要な船員についても、面接指導等の実施に努めることとする。
  • その他の船舶所有者についても、同様の面接指導等の実施に努めることとする。

④メンタルヘルス対策
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)

  • 常時50人以上の船員を使用する船舶所有者に対し、年1回以上の医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を義務付け。
  • 船舶所有者は、医師等に、船舶等の集団ごとにストレスチェックの結果を集計・分析させ、その分析結果を勘案し、当該集団の船員の心理的負担を軽減するための措置を講ずるよう努めることとする。
  • ストレスチェックの結果、高ストレス船員が、医師による面接指導を希望する場合は、面接指導を実施し、その結果に基づき、必要に応じて、当該船員に対する就業上の措置(※)を講じることを義務付け。
  • その他の船舶所有者についても、ストレスチェック・面接指導等の実施に努めることとする。

就業上の措置の例

作業の転換、労働時間の短縮、乗船期間の短縮等

参考

「船員の健康確保に向けて」(令和2年10月、船員の健康確保に関する検討会とりまとめ)(国土交通省)[PDF 496 KB]

船員向け産業医になられる方のための動画・参考資料(一般財団法人海技振興センター作成)
動画:YouTubeで視聴できます。 
動画のダウンロードはこちら。 http://www.maritime-forum.jp/et/movie/doctor/all.mp4

参考資料:http://www.maritime-forum.jp/et/pdf/doctor.pdf [PDF 16.9 MB]