福岡産業保健総合支援センターの産業保健調査研究報告です。

はじめに
2016 年にIARC は、溶接ヒュームの健康有害性区分をヒトに対する発ガン性のカテゴリーをグループ2B (ヒトに対する発ガン性が疑われる) からグループ1 (ヒトに対する発ガン性が知られている、あるいは、おそらく発ガン性がある) に変更した。溶接作業により発生する金属ヒュームの成分 (化学種:金属および金属酸化物) の多くは肺に対する発ガン性があるとされているが、機序の詳細は不明である。機序の解明には、粉じん中の金属及び金軸に結合する種の同定が求められる。一般に、粉じん中の成分は、酸を用いて溶解させプラズマ発光分析(ICP)や原子吸光分析(AA)が使用される。これらの分析では、金属に結合している化学種の同定が困難である。X 線解析法では、サンプルの広い範囲を対象にしており、個別の粒子の成分分析には適していない。今回、米国環境保護局が環境中の粒子物質の成分同定に使用している分析電子顕微鏡(SEM-EDX)により溶接作業の粉じんの成分を同定し、実体顕微鏡により、ろ紙上の粉じんサンプルの色彩・形状を確認した。

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作成:福岡産業保健総合支援センター(令和元年(平成31年))

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