1.相談員便り

エイジフレンドリー補助金とその問題点について(道明道弘相談員)

近年の高齢者の就労拡大に伴い労働災害が増加したことから、高齢者が安全に働けるような職場環境整備の推進を目的として令和2年から始まった「エイジフレンドリー補助金」ですが、本年度も「令和6年度エイジフレンドリー補助金」の申請受付が令和6年5月7日から開始しました。現在、(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会内の「エイジフレンドリー補助金事務センター」が申請及び支払いを行っていますが、注意点は、関係書類は「郵送または宅配便のみ」での受付となっていて、さらに、「助成金」とは違い「補助金」ですから、交付決定額が予算に達した場合、申請受付期間中であっても受付を締め切るとされています。条件に合致する場合には、早めに検討・申請することがおすすめです。

次に、補助金の対象となる企業の要件として「エイジフレンドリー補助金」を申請するためには、まず下記の基本要件を満たす必要があります。

  • 労災保険に加入している
  • 中小企業事業者
  • 1年以上事業を実施している

また、「エイジフレンドリー補助金」には、下記3つのコースがあります。

高年齢労働者の労働災害防止対策コース

(1)転倒・墜落災害防止対策
• 作業場所の床や通路のつまずき防止、滑り防止のための対策
• 転倒時のけがのリスクを低減する設備・装備の導入 など

(2)腰痛予防対策
• 不自然な作業姿勢を解消するための作業台などの設置
• 重量物搬送機器・リフトの導入(乗用タイプを除く)
• 重筋作業を補助するパワーアシストスーツの導入
• 介護における移乗介助、入浴介助の際の身体的負担を軽減する機器の導入 など

(3)熱中症防止対策
• 熱中症リスクの高い暑熱作業のある事業場における休憩施設の整備
• 体温を下げるための機能のある服の導入 など

(4)交通災害防止対策
• 業務用車両への踏み間違い防止装置の導入

転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース

※専門家:医師、理学療法士、健康運動指導士、労働安全・衛生コンサルタント、アスレティックトレーナーなど

コラボヘルスコース

(1)健康教育・研修など
※オンライン開催、eラーニングなどを含む
(2)システムの導入
※初期導入費用のみ対象。ただし、パソコンの購入は対象外
(3)栄養・保健指導
※健康診断・歯科健康診断・身体機能チェックにかかる費用は除く

上記3つのコースですが、この補助金の問題点としては、前述のことも含め、

• 1 補助金によっては、高いハードルの要件を満たす必要がある
• 2 申請から発注まで、それなりに時間がかかる
• 3 実は、補助金を受けられる回数には制限がある
• 4 補助金の種類によって事業目的は異なる

ですが、さらに、他の資金調達方法を選択した方が、効果が高いこともあります。

例えば、補助金の最高で100万円ですから、リースを使うとかの方が楽の場合もあります。ただし、中小企業が対象のため、少子高齢化で高齢者労働者が増えている現状から、その健康安全のためにも、問題点は前述のごとくあるとは言え、申請することは必要なことと思います。

《道明相談員の研修会》
https://okayamas.johas.go.jp/tag/domyo_michihiro/

2.研修会のご案内

研修会についてはこちら
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3.産業医研修会

産業医研修会についてはこちら
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4.【Zoom】おとなの発達障がいセミナー[10/15、12/4]

発達障がいの特性の理解を深めていただくとともに、その特性による職場での問題点を「事例性」としてとらえ、本人が働く上で感じる「困りごと」を含めた職場の「困りごと」に焦点を当てたマネジメントをご紹介します。

日時:
10月15日(火)14:00~16:00
12月4日(水)14:00~16:00

受講後のアンケートにご協力いただける方を受講対象とします。2回シリーズのセミナーですので、2回のセミナー両方の受講を推奨します。

参加申込はこちら
https://okayamas.johas.go.jp/2024-1015-1204/

5.「石綿関連疾患診断技術研修(基礎・専門研修)」について

石綿(アスベスト)は、かつて建設資材や自動車部品などに利用されてきましたが、石綿繊維を吸入すると肺がんや中皮腫などの発症の原因となるため、現在は製造・使用等が禁止されています。

石綿関連疾患の診断及び石綿ばく露所見の判定にはエックス線写真の読影等が必要となりますが、その判断が困難な事例も多く、また、医学的な知識・経験に加え、石綿ばく露等についての知識も必要となります。

当機構では、呼吸器系の疾患を取り扱う医師や産業医などの医療関係者を対象に、石綿関連疾患の診断技術の向上及び労災補償制度の周知を図るため、石綿関連疾患の診断方法、石綿ばく露の所見に関する読影方法及び労災補償制度の取扱い等についての研修を実施しております。

今年度の研修日程につきましては、下記リンクに掲載しております(本研修は認定産業医の単位取得対象です。)。

https://www.research.johas.go.jp/asbestokenshu

6.職場における熱中症予防対策の徹底について

熱中症による死傷災害(死亡・休業4日以上)の発生状況

令和6年(7月末速報値)
死傷者は247人、死亡者数は10人です。直近5年でみると、本年7月までの死傷者数は2番目の多さです。

特に、7月単月は最多で、昨年を大きく上回っています。向こう1か月の季節予報では、平均気温が平年より高い見込みと予想されており、対策に万全を期すことが重要です。

熱中症関連情報(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html

ポータルサイト「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」
https://neccyusho.mhlw.go.jp/


次回の第201号は2024年9月17日に配信予定です。