相談員便り

事柄と感情の違いを意識した聴き方(塩田隆一相談員)

人は何かを伝えようとするとき、事柄を伝えることと感情を伝えることの2つの要素が含まれています。

事柄というのは事実、出来事、状況、事象などを表すもので、感情は気持ち、思考、価値観、心象などを含んでいます。どちらの要素もバランスよく含まれている内容もあれば、どちらかに偏っている内容もあります。

事柄と感情が同時に伝われば理解しやすい内容になりますが、どちらかに偏った内容であれば、もう片方の理解も必要となります。人は困っていたり悩んでいたりする時ほど、話の内容に偏りが現れます。下記の例を参考に違いを見てみましょう。

事柄ばかりの内容

私はあるプロジェクトを任されたのですが、チーム内での意見が対立し、計画が中断してしまいました。その後、別の部署から助けを借りることができて、何とかプロジェクトは再開できたのですが、中断した責任が私にあるとチーム内から責められるようになりました。

感情ばかりの内容

私にとっての上司は大きな壁みたいなものです。いつまでもその壁を超えることはできません。上司は自分のために私を利用したのです。私は上司から何一つ認めてもらった気がしません。でも私はそんな上司を信頼していたし、上司を恨んではいけないのです。

どちらも含んだ内容

今の会社に入って3年になるのですが、将来のことを考えるととても不安になってきたのです。入社してしばらくは夢中で頑張っていたのですが、仕事内容や業界の現状が分かってくると、毎日の繰り返しが無駄に思えてきて、いっそのこと脱サラしようかと考えてしまうのです。

理解しにくい内容ほど注意深く聴くようになりますし、正しく理解することで相手の伝えたかったことがより明確になり、コミュニケーションが活性化して、関係性が深まっていきます。日頃から事柄と感情の違いに意識を向けながら相手の話を聴いていきましょう。

■塩田相談員について
https://okayamas.johas.go.jp/consultation/advisor-profile/#siota_ryuishi

工作物石綿事前調査者義務化について(道明道弘相談員)

労働衛生コンサルタント どうみょう医院 道明道弘

皆さんご存知のように、「大気汚染防止法」や厚生労働省が定める「石綿障害予防規則」、通称「石綿則」により「建築物等の解体・リフォーム工事」の際「アスベストの事前調査報告が義務化」された法規制強化の背景には、「アスベストによる健康被害」が挙げられます。

アスベストの病は潜伏期間が長く、さらに「肺がん」や「悪性中皮腫」など、重篤な病である可能性が高いからです。

このため、事前調査の信頼性確保のために令和5年(2023年)10月より解体工事等には「専門知識を有する者(建築物石綿含有建材調査者)の事前調査」が必須となりました。

ところが、解体に伴うアスベストの健康障害は約30%程度で、いわゆる「プラント等工作物」に含まれるアスベストによる健康障害が問題となり、来年令和8年1月から、「工作物の石綿有無の事前調査」についても「有資格者(工作物石綿事前調査者)による調査が義務」付けられます。

現在、中四国で唯一岡山県労働基準協会で行われている「工作物石綿事前調査者講習」は、石綿等が使用されているおそれが高い物として告示で定められた特定工作物のうち、建築物とは構造や石綿含有材料が異なり、調査にあたり工作物に係る知識を必要とする工作物として定められた「プラント設備」、「電気設備」、「配管」及び「貯蔵設備」等の事前調査で必要となる資格です。

この調査者資格のため必要な最も簡単な資格が「アスベスト作業主任者」資格で、小生は岡山県建設協会の「アスベスト作業主任者講習」のうち「アスベストの健康障害」を18年間講義してきてますが、この調査者資格の必要性が出来たことで最近ではアスベスト作業主任者講座受講者が増加しています。

なお、これらの調査者による調査結果については他の報告と同様に電子システムで報告することが義務になります。

■道明相談員について
https://okayamas.johas.go.jp/consultation/advisor-profile/#domyo_michihiro

研修会のご案内

研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/training/

産業医研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/category/training/ipt/

治療と仕事の両立支援 事例検討会・交流会(循環器疾患編)

両立支援コーディネーターのスキルアップ、またコーディネーター間の交流を目的に、検討会・交流会を開催いたします。事例検討会では、事例を基に、グループワークにより両立支援の進め方を話し合い、職種を交えて意見交換を行います。

日時:令和8年1月16日(金)13:30~16:30

場所:岡山県立図書館(岡山市北区丸の内2-6-30)

対象者:両立支援コーディネーター基礎研修修了者
(基礎研修を終了していない方の場合、オブザーバーとしての参加が可能です)

https://okayamas.johas.go.jp/2026-0116r/

病職歴データベースを活用した研究

労働者健康安全機構(JOHAS)が運営する労災病院グループでは、全国の労災病院に入院された患者さんにご協力をいただき、それまでの仕事や生活習慣等に関する情報を収集しています。

収集した情報は、データベース化して職業と疾病との関連性について研究を行い、その研究成果は就労者の健康の保持増進及び疾病の予防・治療・職場復帰支援に活用しています。今回は「病職歴データベースを活用した研究」についてご紹介します。

VDT(視覚表示端末)作業とは、コンピューターなどのモニターを用いて行う作業を指し、長時間続けると目や身体に負担がかかりやすく、首や肩の痛み、ドライアイ、眼精疲労、視野異常などの眼症状と関連しています。

今般、病職歴データベースを用いて、VDT作業が及ぼす眼への有害影響に関して検討するため、パソコンやスマホなどの画面を見る時間(スクリーン時間)と座りっぱなしの時間(座位時間)と眼疾患の関連性を検討しました。

その結果、スクリーン時間と座位時間の長さが白内障、眼瞼下垂と正の相関を示し、翼状片とは負の相関を示すことが示唆されました。また、原発開放隅角緑内障はスクリーン時間とのみ正の相関を示すことも示唆されました。

研究論文は以下のURLからご覧になれます。

論文タイトル:『Association between ocular diseases and screen time and sedentary time derived from job-exposure matrices(Scientific Reports)』(佐野圭先生)

■労働者健康安全機構
https://www.johas.go.jp/kenkyu_kaihatsu/tabid/1074/Default.aspx

次回の第217号は2026年1月15日に配信予定です。