2021年3月1日(月)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第158号」です。

1.相談員便り

事務所の換気状態を調べてみませんか

新型コロナウイルス対策の一つである事務所等の空気を換気で入れ替える方法についてご紹介いたします。今回、ご紹介するのは日本産業衛生学会が発行している「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド第4版(修正済)」です。その内容を以下に引用いたします。
冬場においては寒さを防ぎつつ、室内のこまめな換気を行うことが重要です。推奨される換気方法としては、

(1)窓の開放による方法、
(2)機械換気(空調・機械換気整備)による方法

との2つに大別されます。いずれの場合も適切な湿度(40%以上)の維持に留意すること。換気の目安として、室内の二酸化炭素濃度を測定し1000ppmを超えていないかを確認する用いる方法があります。

(1)窓の開放による方法について
居室の温度や湿度を適切に維持しながら、窓を開けたうえで自然換気が有効です。換気の回数は30分に1回以上、数分程度窓を全開にすることが望ましく、空気の流れを作るため(複数の窓がある場合は)二方向の壁の窓を開放する。窓が一つの場合はドアを開けておくことです。

(2)機械換気による方法について
空気環境の基準および必要換気量(一人当たり毎時30立方メートル)が確保できているか確認することです。必要換気量が満たされていない場合には、換気設備の清掃や整備等を適切に行い、エアコンの換気量は常に一定とし、従業員が無断で流量の調整をしないように注意喚起してください。

必要換気量を満たしているか確認するためには、日本産業衛生学会(産業衛生技術部会)が無償で提供している換気シミュレーター(エクセル計算)を利用することができます。事務所に容積(高さ、横、縦)と従事する人数、換気扇の能力を入力します。
また、日本産業衛生学会と別に事務所における換気量の計算例について衛生管理者試験問題からご紹介いたします。

(衛生管理者試験 過去問題より)
在室者12人の事務室において、二酸化炭素濃度1000ppm以下に保つために最低必要な換気量を計算してくたさい。ただし、在室者が呼出する二酸化炭素量は1人当たり0.018(立方メートル/h)、外気の二酸化炭素濃度を400ppmとして計算すること。

(0.018立方メートル/h×12)÷(1000ppm-400ppm)×1000000
=360(立方メートル/h)

上記の過去問題では事務所の換気扇の能力が360(立方メートル/h)必要という結果となります。1人の人間が1時間に吐き出す二酸化炭素の量は1時間当たり約20リットル前後とされています。このように計算で求めることもできますが、検知管(北川式、ガステック)を用いて二酸化炭素濃度を実際に測定する方法、簡易測定器(通信販売で買うことができる)など使用して二酸化炭素濃度を実際に測定する方法などで人が呼吸によって吐き出す二酸化炭素がどの程度充満しているか換気状態を監視することもお勧めいたします。
「実際にどの程度換気が行われているかわが社でも確認してみたい」とお考えの方は、岡山産業保健総合支援センターへご相談ください。

(参考)事務所衛生基準規則 

第5条(空気調和設備等による調整)
事業者は、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。

【一】浮遊粉じん量(1気圧、温度25℃とした場合の当該空気1立方メートル中に含まれる浮遊粉じんの重量をいう。以下同じ。)が、0.15mg以下であること。

【二】当該空気中に占める一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率が、それぞれ100万分の10以下(外気が汚染されているために、一酸化炭素の含有率が100万分の10以下の空気を供給することが困難な場合は、100万分の20以下)及び100万分の1000以下であること。

【三】ホルムアルデヒドの量(1気圧、温度25℃とした場合の当該空気1立方メートル中に含まれるホルムアルデヒドの重量をいう。以下同じ。)が、0.1mg以下であること。

2 事業者は、前項の設備により室に流入する空気が、特定の労働者に直接、継続して及ばないようにし、かつ、室の気流を0.5メートル毎秒以下としなければならない。

3 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が17℃以上28℃以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。

岡山産業保健総合支援センター 相談員 横溝浩

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2.研修会のご案内

新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。

《ピュアリティまきびで開催する研修会》

・3/3(水)14:00~15:30『発達障害労働者の行動特性に準じた対応について』

《YouTubeで視聴する研修会:(視聴可能時間)13:30~16:30》

・3/5(金)『睡眠について』(講義90分)
・3/12(金)『発達障害労働者の行動特性に準じた対応について』(講義90分)

《Zoomで参加する研修会》

・3/1(月)13:30~15:00『家族の関与の重要性と実務』

◆研修会の参加申し込みはこちら

次回の第159号は2021年4月初旬に配信予定です。