雇入時の健康診断とは
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、労働者に対し、雇入れ時健康診断を行わなければなりません。
ただし、医師による健康診断を受けた後、3カ月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、雇入れ時の健康診断を省略できます。(2021年7月)
健康診断項目
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(1000Hz及び4000Hzの音に係る聴力をいう。)の検査
- 胸部エックス線検査
- 血圧の測定
- 血色素量及び赤血球数の検査(貧血検査)
- 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(肝機能検査)
- 低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(血中脂質検査)
- 血糖検査
- 尿中の糖及び蛋白の有無の検査(尿検査)
- 心電図検査
雇入れ時健康診断と採用選考時の健康診断
雇入れ時健康診断は、常時使用する労働者を雇入れた際における適正配置、入職後の健康管理の基礎資料に資するための健康診断で、採用選考時の健康診断ではありません。
採用選考時の健康診断とは
ハローワーク等では、公正な採用選考の中で、採用選考時における健康診断書の提出は、応募者の適正と能力を判断するうえで必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれがあるとして、公正な採用選考の観点から健康診断書の提出を求めないよう指導されています。
一方、適性を判断するため、健康診断を含め健康状態を確認する必要性がある業種や職種もあります。例えば、運転・配送業務で募集する際、失神等の発作が生じないかの確認などがあげられます。その場合、本人に必要性を説明し、同意を得て、業務に関係する項目のみ確認することは差し支えありません。