2021年7月1日(木)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第162号」です。

1.相談員便り

今年4月から「溶接ヒュームが特定化学物質に」

令和3年4月より「溶接ヒュームに」ついて、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、新たに特定化学物質障害予防規則の管理第2類物質として追加されました。これにより、金属アーク溶接等の作業を行う際、健康障害防止対策が必要となりました。これを以下のようにまとめてみました。

1.作業場の分類
(1)継続して行う屋内作業場(作業時間は短時間で期間をあけて行う場合も含まれる)
(2)屋内作業場(作業場が固定されていない、その都度作業場所が異なる)
(3)屋外作業場(屋根を除く、周壁が2側面以上解放されている)

2.特殊健康診断(令和3年4月1日より)
上記、(1)、(2)、(3)すべて該当する。

3.特定化学物質作業主任者の選任(令和3年4月1日より)
上記作業場、(1)、(2)、(3)すべて該当する。

特定化学物質技能講習を修了した者の中から選任しますが、溶接作業を行う作業者全員が技能講習を受講して修了する必要はありません。作業場で行われている溶接作業を常に監視できる者であれば要件を満たします。ただ、その作業主任者がその場にいない場合は、その者に代わる作業主任者が必要となります。作業主任者の「職務」、「氏名」を作業場のよく見える場所に掲示してください。

4.毎日1回以上の掃除(令和3年4月1日より)
上記作業場、(1)、(2)該当する、(3)は除外。

ヘパフィルター付きの真空掃除機により床を掃除する方法が一般的ですが、掃除機内の粉じんについては、「産業廃棄物」として処理してください。法令で示されている水洗による掃除は、溶接作業時に感電の危険が予想されますので、私としてはお勧めいたしません。

5.全体換気による換気
上記作業場、(1)、(2)該当する、(3)は除外。

この場合、全体換気装置の性能要件は定められていません。溶接ヒュームは建屋の一定の高さまで上昇して滞留し、時間が経過するとともに床面に降下します。このため、溶接ヒュームが滞留しやすい高さに全体換気装置を設置するのが有効です。作業中に目視などにより観察してみてください。

全体換気装置の性能(換気量)の目安は、溶接作業時に発生する溶接ヒュームの発生量(g/h)と環境中の平均濃度(mg/立方メートル)から概算値として推定することができます。

6.溶接ヒューム濃度の測定(令和4年4月1日より)
上記作業場、(1)該当する。(2)、(3)は除外。

個人ばく露濃度の測定を2人以上について実施しますが、事業場の規模により補助金の申請が可能です。(申請については、作業環境測定機関にご相談ください)

7.有効な呼吸用保護具の使用等(令和4年4月1日より)
上記作業場、(1)、(2)、(3)すべて該当する。

溶接ヒュームの濃度により「要求防護係数」を求め、呼吸保護具の種類から選択します。ただ、作業場(2)、(3)については溶接ヒュームの濃度の対象ではありませんので、「防じんマスクの選択、使用について:基発第0207006号平成17年2月7日」により、DS2、DL2、RS2以上の等級の防じんマスクを使用する必要があります。

8.呼吸用保護具のフィットテスト(令和5年4月1日より)
上記作業場の(1)該当する。(2)、(3)は除外。

9.その他の事項(特定化学物質障害防止規則:省略)

以上、ご不明な点がありましたらご相談ください。

岡山産業保健総合支援センター 相談員 横溝浩

《横溝相談員の研修会こちら》

2.研修会のご案内

新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。

《ピュアリティまきびで開催する研修会》

・7/16(金)14:00~15:30『「全国安全週間」安全・衛生パトロールの着眼点と改善計画、進捗、改善事例紹介』
→安全・衛生パトロール時の着眼点とその指摘事項の改善事例について、労働安全衛生法等との関連について紹介します。

・7/21(水)13:30~15:30『アルコールの健康影響と対策』
→職場でのアルコールの問題は、労働者の安全および衛生の両面で重要な課題です。アルコールによる健康影響を知り、より早期の依存症予防対策を考えるきっかけとします。

・7/29(木)14:00~15:30
『酸等による歯科疾患と事業場における歯科口腔保健』
→塩酸、硝酸等の有害な物のガスなどを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対しては歯科健診が義務付けられています。酸等が歯やその支持組織に有害であること、そのための歯科健診の重要性について解説します。併せて、改正された「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」において、歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導の実施も新たに加わったことから歯科の口腔保健についても解説します。

《YouTubeで視聴する研修会》

・7/1(木)『職域における働き方改革法とワークライフバランス及び業務改善の実際について』
→働き方改革推進法に基づく労働安全衛生法の一部改正についてと、ワークライフバランス及び業務改善の実際について分かりやすく解説します。(90分)

・7/6(火)『ストレスチェック制度の概略と流れ(新任者向け)』
→ストレスチェック制度が始まり5年が経過しました。この研修では、初めてストレスチェックに携わる方に向けての入門編として、法令等に添って制度の基本と要点を解説します。努力義務である50人未満の小規模事業場の方も是非ご参加ください。(90分)

・7/30(金)『「全国安全週間」安全・衛生パトロールの着眼点と改善計画、進捗、改善事例紹介』
→7/16にピュアリティまきびで実施した研修と同内容です。

《Zoomで参加する研修会》

・7/13(火)13:30~15:00『メンタルヘルス対策導入研究会②』
→満席

・7/15(木)16:00~17:00『モジュール構成による新型研修シリーズ4/12』
→(1)業務的健康管理による健康診断事後措置
(2)健康経営への取り組み方
(3)面接シナリオ「療養の仕方についての指摘」
質問は、チャット機能を用いて、モジュール間のブレイクおよび最後に口頭でまとめて行います。なお、内容は変更となる場合があります。

《延期(実施未定)となった研修会》

・7/2(金)『受動喫煙防止対策』

◆参加申し込みはこちら

3. エイジフレンドリーガイドライン等オンライン説明会~高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインと補助金 について~

60歳以上の労働者の労働災害が増加傾向にある中、高年齢労働者が安心して働ける職場環境の整備を進めるため、岡山労働局では、高年齢労働者の安全と健康確保のための説明会を開催することとしました。

説明会では、医学的見地からの加齢に伴う心身機能の変化や特徴や、令和2年3月に策定されたガイドラインに基づく取り組み方等について説明します。

さらに、中小企業による安全衛生対策の実施に対して利用可能な補助金についても紹介します。

【オンライン開催です。お申込みはこちら】

4.石綿関連疾患診断技術研修(8/5)

日時:令和3年8月5日(木) 14:00~18:00
場所:アスベスト疾患研究・研修センター会議室(岡山労災病院敷地内)

講師:岸本 卓巳(アスベスト疾患研究・研修センター所長)
藤本 伸一(アスベスト疾患研究・研修センター研究部長)

単位:専門2単位、実地2単位
定員:20名

内容:石綿関連疾患について、石綿に関する一般的知識、石綿ばく露歴の把握方法、石綿による労災疾病の労災補償制度についての研修及び石綿関連疾患に関する胸部画像の読影診断技術研修を実施。当該疾患の早期診断を図るとともに労災請求へつなげ、被災者の早期救済を促進する。

申込受付は7/12(月)10:00に開始します。

次回の第163号は2021年8月初旬に配信予定です。