2022年1月6日(木)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第168号」です。

新年のご挨拶

岡山産業保健総合支援センター所長 松山 正春

新年あけましておめでとうございます。
皆さまには、おそろいでお正月を迎えられたことをお喜び申し上げます。

コロナとの戦いも3年目になります。ワクチン接種から2年目ということになり、もはやコロナなくしては生活できないような状況になってきました。コロナとの共存、“With Corona”の時代になった感があります。職域での集団接種の効果か、デルタ株は何とか抑え込むことに成功していますが、コロナ軍も強かで新たな戦士オミクロンを投入するなど、なかなか闘いの手を緩めません。

この正月も外出は避け、家庭内でもマスクの使用、手指の衛生等の基本的感染防止をお願いするなど、今年も厳しい条件下の新年となってしまいました。オミクロンの感染拡大が1月半ばにも起こるのではないかと言われています。所謂、第6波です。オミクロン株はあまり強くないのではないかとも言われていますが、それでも高齢者、基礎疾患のある方が感染されれば重症化の可能性もあります。お正月休み後に感染拡大が起こらないことを祈るのみです。

産業保健においても、厳しい2年間を経験しました。今年は、この2年間の経験を活かした産業保健活動が求められます。
With Coronaの時代の職場環境はどのようになるのでしょうか。基本的な感染対策としてのマスクの使用、黙食などにより労働者同士のコミュニケーションが取れない場合が増えてきます。このような状況によるメンタル不調も増加しています。また、職場でのクラスター発生場所として、食堂、更衣室、休息所等が挙げられました。昨年12月16日には事務所衛生基準規則の改正が行われましたが、まさに時宜を得た改正であると思います。

With Corona時代の働き方はどうなるのでしょうか。

岡山産業保健総合支援センターにおいても、緊急事態宣言下ではセンター出勤者を半分に減らし、その他の方はテレワークの体制で運営してきました。コロナ後は、出勤、在宅勤務及び出勤と在宅勤務の組み合わせのもとで、全員の同時出勤は不可という働き方がごく当たり前になるのではないでしょうか。事務職は勿論この体制は可能でしょうが、製造業、サービス業では通用しません。働き方改革も推進されています。小規模事業場も働き方改革により、時間外労働も確実に短縮しているようです。しかし、労働者数の60%強、事業所数の約97%をしめる小規模事業場には、大規模事業場と比べて事業場内規定や安全衛生管理体制が未整備な事業場も多く、さらに、衛生管理者の選任、産業医の選任等多くの適用除外があります。

日本の産業を下支えする、小規模事業場の労働者の保護は今後の課題になります。日本医師会産業保健委員会でもこうした状況を改善するため、1992年以降、産業医の選任基準の30人以下への引き下げを提言していますが未だ実現していません。

日本における産業保健活動は、1911年に施行された「工場法」に始まり、労働基準法(1947年)、労働安全衛生法(1972年)と100年以上の歴史を持ちます。労働安全衛生法の制定以来、労働災害による死亡者数は約85%減少しています。しかし、国による規制も限界に達しており、例えば、化学物質規制にみられるように、国がリスク評価を実施し、特化則等の対象物質に追加して規制する方法から、国からの情報提供により事業者がリスクアセスメントを行い、暴露防止のために講ずべき措置を自ら選択して実行することになりました。今後の、産業保健政策は概ねこのような自律的な管理により実施される方向に進んでいくと思われます。事業者の負担がますます重くなることが予想されます。

岡山産業保健総合支援センターとして、事業場からの相談等に丁寧に対応していくつもりでおります。ご利用よろしくお願いします。

1.研修会のご案内

新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。

《ピュアリティまきびで開催する研修会》

●1/26(水)14:30~16:00『うつ病の対応について』
→うつ病の基礎的知識と職場での対応について説明します。事例を提示してのグループディスカッションを予定しています。

《YouTubeで視聴する研修会》
●1/20(木)『LGBTQ/SOGIの基礎知識と企業が考えること』
→企業の人事や産業保健の担当者が知っておくべきLGBTQ/SOGIの基礎知識を解説するとともに、特に、トランスジェンダー当事者への対応を考えます。※12/23と同内容(90分)

●1/28(金)『防ごう!骨粗鬆症 人ごとではないですよ』
→女性に多いといわれる骨粗鬆症。若い時から注意が必要です。どのような注意が必要か考えてみましょう。(90分)

《Zoomで参加する研修会》

●1/27(木)16:15~17:00
『モジュール構成による新型研修シリーズ10/12』
→(1)過重労働面接、(2)希望テーマ(受付中)、(3)面接シナリオ「療養膠着」
研修日1週間前から講義の動画をYouTubeにて配信しますので、ご視聴ください。研修会当日、16:15~17:00にZoomミーティングにて質疑応答を行います(動画未視聴の方向けに15:30~16:15にZoomにて動画を公開します)。

◆参加申し込みはこちら

2.安衛法関係政省令改正により、国内の化学物質管理が抜本的に見直しとなります

3.事業所向け職場における化学物質管理に関するオンライン講習会開催のお知らせ(オンデマンド配信)

次回の第169号は2022年2月初旬に配信予定です。