新年のご挨拶

岡山県産業保健総合支援センター 所長 松山正春

新年あけましておめでとうございます。

皆様にはご家族お揃いで新年を寿がれたこととお喜び申し上げます。

新型コロナウイルス感染症も、昨年5月8日から感染症法上の2類から5類に位置づけが変更された事で世の中の様子もコロナ前に戻った感があります。しかし、“好事魔多し”といわれるように、今年は元日には予想だにしない“能登半島地震”が発生しました。死者は200人を超え、行方不明者も100人以上となっています。お亡くなりになられた方には心から哀悼の意を表します。そして被害にあわれた方にはお見舞いを申し上げますとともに早期の復興を祈念しております。近年、自然災害の発生が頻度が増え、しかもその規模も拡大の一途を辿っているように思えてなりません。能登半島地震の特徴は、広範囲ではありませんが被害が多発し、その全容の確認ができないことです。2万5,000人以上の方が避難生活を余儀なくされています。避難所の支援も長期にわたり必要となります。多くの事業場も被害にあわれたものと思われますが、早期の事業再開ができることをお祈りします。

また、2日の午後には羽田空港で航空機同士の衝突という非常にまれな事故が起こってしまいました。マスコミなどでは犯人探しが行われていますが、なかなかそう簡単なものではありません。海保機は停止位置を超えて滑走路に進入しました。思い違いなのか管制官の指示なのかを明確にする必要があります。そして、日航機は、進入した海保機を確認できたはずではないでしょうか。そして、管制官は海保機が滑走路に進入したことを確認したのでしょうか。さらに、空港の停止位置を示すライトが正常に稼働していなかったのではないかという情報もあります。

これは、まさに事業場でも関係者が本当に少しずつ思い違い、勘違いを起こしたがために発生する労災事故に通じるものがあります。一つの過失のみでは必ずしも大事故に発展しませんが多くの人がかかわるたびに事故の規模を大きくなります。インシデントの集積が重大な事故につながります。今回は、航空機事故調査委員会で詳しい原因の追究があると思われます。私たちは、事故調査委員会がどのような裁きをするのか注視し、私たちに降りかかってくる労災事故を防止しなければなりません。

自然災害は防止することはできませんが、労災事故は予防できます。

幸い、日航機の乗客・職員が一人も亡くなることなく機外に脱出できたことは日ごろの訓練を繰り返し実施していた成果が表れたものです。機長をはじめCAなどの自信に満ちた声掛けが乗客に届いたものと感嘆しています。労働の現場でも繰り返しの訓練を実施することで事故発生を予防できるとともに、仮に事故が発生しても軽微に抑えられるものと確信します。年始の災害、事故をわが身に当てはめて私見を述べてみました。何かの参考になれば幸いです。

それでは皆様、今年も、“ご安全に”。

研修会のご案内

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『産業保健21』第115号が発行されました

特集:新たな化学物質規制体制

・第4期特定健診・特定保健指導と産業保健

・建設アスベスト訴訟事件(建設作業従事者の石綿粉じんばく露
 について、国・建材メーカーらの賠償責任が認められた事案)

・大胆な設備投資による生産性向上と社員の意識改革で労働時間
 短縮を実現

・コロナ禍における会話時間とメンタルヘルス

ダウンロードはこちら(無料)
https://okayamas.johas.go.jp/21-115/

情報誌『産業保健21』は、産業医をはじめ、保健師・看護師、労務担当者等の労働者の健康確保に携わっている皆様方に、産業保健情報を提供することを目的として、独立行政法人 労働者健康安全機構が発行しています。

高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのご案内~情報共有シート活用の手引~

高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、障害のある従業員が自分の状況を見える化し関係者と共有することにより、適切なセルフケアやラインケア、外部の専門的なケアにつなげるための「情報共有シート」及びその「活用の手引」を作成しており、ホームページからダウンロードできますので、御活用ください。

https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai60.html

「労災疾病等医学研究普及サイトリニューアル」について

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新しい政策課題について時宜に応じた研究に取り組んでいます。そこで、令和5年度から新規に研究を開始することに伴い、労災疾病等医学研究普及サイトがリニューアルしました。

労災疾病等医学研究は、3年間の研究活動と、その後1年間の普及活動を行います。研究状況につきましては、中間報告等を随時普及サイトに更新していく予定ですので、そちらからご確認いただけます。

また、新規の研究以外にも、下記の「労災疾病等医学研究普及サイト」のリンクに様々なテーマを取り扱った過去の研究成果を紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

https://www.research.johas.go.jp/


次回の第194号は2024年2月15日に配信予定です。