1.相談員便り(中島誠相談員)

民主主義の対義語は独裁主義です。言うまでもなく、中国やロシアは独裁主義国で、およそ一人の独裁者がその国を支配しています。民主主義国家であっても、国の中の小さな会社や組織の多くは独裁主義、およそ一人の経営者あるいはその長がいて、独裁の状態で会社や組織を動かし、その周囲には経営者やその長が選んだであろう人たちが取り巻いています。

ある会社に、真面目で正義感の強いAさんがいて、いつも熱心に仕事に励み成果を上げていました。Aさんは経営者Bさんにとても気に入られ、Aさんはその会社の支店長に抜擢されました。Aさんは土曜日曜も返上してより一層仕事に取り組むようになり、その支店の売り上げは社内でもトップクラスとなりました。

Bさんは以前より各支店長を毎月本社に集め、支店長会議を行っていました。ある時、その会議の中で、AさんはBさんが望んでいない内容の発言をして、Bさんを怒らせてしまいました。その日を境に、AさんはBさんとBさんを取り巻く人たちから冷たく対応されるようになり、Aさんは次第に気分が落ち込み、夜も眠れなくなり、ある精神科クリニックを受診しました。

同クリニックの医師Cさんは、Aさんから事情を聴くなどして、適応障害と診断し、休職を勧め、その診断書を書いて、抗うつ薬などを処方しました。その方針に従い、Aさんは自宅で休養し内服を継続して数か月後には症状は改善、久しぶりに職場に行きましたが、社内の雰囲気に違和感を覚えて早々に自宅に戻りました。その後、紆余曲折あり、最終的にAさんは職場を退く決意をするに至りました。20年余り会社に貢献してきたAさんでしたが、会社から労いの言葉もなく、退職金はわずかで、退職時の様々な手続きについての説明もありませんでした。

私たちは民主主義国家で暮らしていますが、実生活では、Aさんのように独裁者のような人の下で就労している人もいます。経営者でなくても上司に独裁者のような人物がいることもあるでしょう。このような人たちとどのように向き合っていけばいいのでしょうか。

これまで見てきた世渡り上手だなと思われた人たちは、こうした経営者や上司の下では只管イエスマンに徹して、経営者交代や上司の転勤などでその影響力がなくなってから、自らの意思を表に出していました。イエスマンに徹するような生き方に違和感のある人たちはおそらくその会社や組織から退いて、転職したり自分の会社を立ち上げたりされているものと思います。

このような話、いざ自分の身に降りかかって来た時には、客観的に自らの状況を把握し行動することはなかなか出来ないと思います。もちろん、家庭の状況などにより転職などの冒険はできない時は困ってしまいます。しかし、自分が心身ともに健康でなければいい人生は送れません。自らの先を見据えつつ、より良い人生の選択ができたらいいですね。

岡山産業保健総合支援センター・相談員
労働衛生コンサルタント
中島誠

2.研修会のご案内

研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/training/

3.産業医研修会

産業医研修会についてはこちら
https://okayamas.johas.go.jp/tag/ss,sj,sk/

4.高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からのご案内~発達障害者就労支援レファレンスブック(課題と対応例)~

高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、発達障害者の職場で直面する課題についての対応策をまとめた「発達障害者就労支援レファレンスブック(課題と対応例)」を作成しており、ホームページからダウンロードできますので、御活用ください。

https://www.nivr.jeed.go.jp/research/kyouzai/kyouzai48.html

5.「妊娠時の食・生活習慣」について

労働者健康安全機構では労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について、時宜に応じた研究に取り組んでおります。「労災疾病等医学研究普及サイト」では、これまで実施してきた研究成果について掲載しています。

今回はその中で令和5年度から新規に開始した「勤労女性の妊娠時の食・生活習慣に関する時間栄養学的研究」についてのご紹介です。

日本では働く女性が年々増加しており、出産前後に就業を継続する割合も年々増加していますが、未だ低いのが現状です。そのため、働きながらの妊娠や出産、産後のスムーズな社会復帰を支援するためには、妊娠前後のケア(妊産婦・子どもの健康)をより充実させることが重要です。

一方、近年の日本の出産に関する統計データでは、出生時の低体重児の割合が増加しており、ここ10年間はその割合が9.5%と高止まりしている状況です。

原因としては、高齢出産者の増加に加えて、多くの若年女性が瘦せていることが考えられ、妊婦が十分な栄養を摂取できていない可能性があります。

本研究では、働きながらの妊娠・分娩、さらに産後のスムーズな社会復帰のために、妊婦や胎児の健康への取組みの改善策について探求することを目的としています。

研究内容について(労災疾病等医学研究普及サイト)
https://www.research.johas.go.jp/ninshin2023/index.html


次回の第196号は2024年4月15日に配信予定です。