2022年2月1日(火)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第169号」です。
1.相談員便り
コミュニケーションを円滑にするには(塩田隆一相談員)
私達の日常はコミュニケーション無しには成り立ちません。当たり前のようですが、時に上手くコミュニケーションが取れないと、悩んだり困ったりすることが増えてきて、日常生活や仕事などに支障をきたしてしまいます。
そもそもコミュニケーションとは、お互いのメッセージを送受信しながらやり取りが行われるものです。送受信のバランスが取れた状態であればお互いが納得し満足できますが、一方的なやり取りになるとしんどくなってきます。
そこでメッセージを送受信する場合に、意識するポイントを紹介します。まずは自分のコミュニケーション能力を伸ばせるように、次の項目について学習や経験を積んでいきましょう。
1:自己統制
(自分の感情や行動をうまくコントロールする)
2:表現力
(自分の考えや気持ちをうまく表現する)
3:解読力
(相手の伝えたい考えや気持ちを正しく読み取る)
4:自己主張
(自分の意見や立場を相手に受け入れてもらえるように主張する)
5:他者受容
(相手を尊重して相手の意見や立場を理解する)
6:関係調整
(周囲の人間関係に働きかけ良好な状態に調整する)
一方で、円滑なコミュニケーションを阻害する要因もあります。それを「ノイズ」と呼び完全に取り除くことはできませんが、起こりうるノイズを知って最小限にできれば、より効果的なコミュニケーションを行うことができます。次にノイズの種類とその低減方法を紹介します。
1:物理的ノイズ
(周囲の騒音や聞き取りにくい声など、環境的な要因)
低減方法:お互いがコミュニケーションに集中できる環境を整える。
2:心理的ノイズ
(お互いの性格、価値観、先入観、偏見などがもたらす一方的な解釈や思い込みなど)
低減方法:自分自身の性格や価値観などの特徴を知っておけば、自分の発言や応答をコントロールできるし、勝手な解釈を防げる。また相手に対する先入観や偏見をなくす努力をすることで、正しく受け止めることができる。
3:意味的ノイズ
(お互いが共通に理解していない表現や言葉など)
低減方法:相手が理解できる言葉や表現を使用する。曖昧な理解のままコミュニケーションが進行しないように、お互いの理解を確認し合う。
日々何気なく行われているコミュニケーションも、実は多くのことが影響して成り立っています。自分のコミュニケーションの目的を果たす上でも日頃から意識することで、良好な人間関係に役立てていきたいものです。
これからの健康づくり(村嶋誠相談員)
65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えると「超高齢化社会」と呼ばれているが、令和3年の総務省の発表では29.1%となり過去最高を更新した。それに伴い就業者数全体の高齢労働者が占める割合も13.6%と過去最高となるなど職場の高齢化が進んでおり、健康づくり対策がますます重要となっている。高齢者に対する健康管理はもちろん大切だが、これから高齢となる若者世代に対しての生活習慣予防、認知症予防などの健康づくり活動に力を注ぐことが不可欠である。平成の時代、職場における第一の課題は、メンタルヘルスを含む過重労働対策であったが、健康づくりに関しては、昭和63年から推進してきた「心と体の健康づくり(THP)」が令和2年、3年と相次いで改正された。
健康づくりの目的は、行動変容を促して疾病を予防し健康を増進することである。アプローチ法のひとつが従来から実施されているマンツーマンによるハイリスクアプローチである。すなわち「改善すべき生活習慣」の要因は「個人」にあるとして、リスクを持つ個人への生活習慣への介入がなされてきた。しかしマンツーマンの壁は厚い。人がいる、時間がかかる、技術も必要だ。健康指導は繰り返ししなければ効果がないこともわかっているし、個人個人の生活環境が異なることや考え方、性格の違いなどのバイアスもあり、指導者にはカウンセリングやコーチングなどというかなり高度な技術も要する。
それに対して集団全体に対して働きかけを行い,集団全体の健康水準の改善を図ることを目指したポピュレーションアプローチの重要性が数年前から注目されるようになり今回の改正THPでも取り上げられている。ポピュレーションアプローチは、単なる情報提供や教育啓発だけではない。改善すべき生活習慣の原因が「個人」よりも「環境」にあるとしており、健康を阻害する要因を環境整備(制度や法律での規制,物理的整備)で取り除くことを介入の柱にしている。またポピュレーションアプローチでは、行動変容を促す介入方法として、インセンティブによる誘導やナッジ理論を活用するなどでかなりの成果をあげている。
ナッジとはヒトの心理的バイアスに着目した理論で人々を強制的にではなく、よりよい選択を自発的に取れるように行動変容を促すことで医療分野でも広く活用されつつある。私たちの職場でもインセンティブやナッジをうまく利用することで多くの社員の行動変容を促し職場全体の健康度をアップすることができる。
さらに近年デジタル化があらゆる分野で浸透しているが、個人の健康・医療・介護に関するデータもデジタル化され生涯にわたり自分自身で管理・活用できる「パーソナルヘルスレコード(PHR)」の取り組みが始動している。職場でも労働者の健康状態を把握する際には、定期健康診断の結果などを医療保険者に提供して、そのデータを医療保険者と連携して事業場内外の複数の集団間のデータと比較した取組の決定などに活用する「コラボヘルス」が推進されている。データの分析方法や社員個人への還元方法には企業間での格差があるが、今後は個人のデータの集積がビッグデータとなり、AI(人工知能)が分析して働くすべての人への健康づくりに役立つようになることを期待したい。
2.研修会のご案内
新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。
《ピュアリティまきびで開催する研修会》
●2/14(月)15:00~16:30
『中小企業事業主のために産業医ができること』
→この研修では、主に中小企業事業主の皆様を対象に「産業医にできること」を解説します。主な内容は基本となる法的対応になりますが、もっと積極的に産業医を活用して健康経営にも取り組みたい」と考えている事業主向けの話もありますので、産業医についてもっと知りたいという事業主様はぜひご参加ください。
●2/16(水)15:00~17:00
『相談場面における傾聴の意義と技法(前編)』
→傾聴の基礎を学び、職場の相談場面に活かせるスキルを取得します。実際の傾聴を体験し、「聴く力」を身につけましょう。3/16の(後編)と併せての受講をお勧めします。※グループワーク実施予定。
●2/17(木)15:00~16:00
『職域における化学物質のリスクアセスメント事例検討』
→大阪のオフセット印刷業社で胆管癌が複数名に発生したとの報道を受けて、同様の発がん性化学物質を使用したことがある労働者より不安があると相談を受けた事例です。作業環境測定結果、作業が現存しない作業に対して、どのようにリスクアセスメントを行うか、ワークで考えていただくことを想定しています。
●2/21(月)13:30~15:30
『職場環境改善のためのタイプ別コミュニケーション』
→相手のタイプに合う声かけをするには?モチベーションをあげる言葉かけはタイプにより異なります。職場でも家庭でも活用できる「タイプ別コミュニケーション」を取り入れ、円滑な人間関係を築くヒントにしませんか。※グループワーク実施予定。
●2/25(金)13:15~14:45
『健康診断結果の読み方(脂質異常症を中心に)』
→定期健診項目のうち有所見率が最も高いのが血中脂質検査です。動脈硬化を進める重要な危険因子である脂質異常症の分類、管理目標値、食事療法などに加えて肝機能障害や肥満などに関しても解説を予定しています。
《YouTubeで視聴する研修会》
●2/22(火)『うつ病の対応について』
→うつ病の基礎的知識と職場での対応について説明します。「新型うつ病とは?」症例の紹介、治療について等、分かりやすくお話します。※1/26と同内容(90分)
《Zoomで参加する研修会》
●2/24(木)16:15~17:00
『モジュール構成による新型研修シリーズ11/12』
→(1)ストレスチェック制度まとめ
(2)希望テーマ(受付中)
(3)面接シナリオ「上司への指導上の注意(遅刻指摘含む)」
研修日1週間前から講義の動画をYouTubeにて配信しますので、ご視聴ください。研修会当日、16:15~17:00にZoomミーティングにて質疑応答を行います(動画未視聴の方向けに15:30~16:15にZoomにて動画を公開します)。
3.【2/15開催】受動喫煙防止・禁煙推進セミナーのご案内
[岡山県 健康推進課よりお知らせ]岡山県では、改正健康増進法及び岡山県受動喫煙防止条例の周知徹底を図るとともに、受動喫煙の防止に取り組む環境整備を進めるため、受動喫煙防止・禁煙推進セミナーをWeb開催します。
皆様ぜひご参加下さい。
●日時:令和4年2月15日(火)13:30~15:55
●開催方法:Web開催(Zoomを使用)
●主催:岡山県
●定員:300名(先着順)
●内容:
「改正健康増進法及び岡山県受動喫煙防止条例の概要説明」
「たばこの害と新型たばこについて」 (岡山県健康づくり財団附属病院院長西井研治様)
「大公開!企業における禁煙及び受動喫煙対策を一歩進めるノウハウ伝授します」(禁煙推進企業コンソーシアム事務局事務局長米田哲郎様)
●対象者:事業者及び県民(どなたでも参加できます。)
●参加費:無料
●申込方法:受講には事前申込が必要です。下記URLからお申
し込みください。(セミナー開始時間まで申込みできます。)https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_L6L-nJQMT1iW_ebpfqm__Q
詳しくは、県健康推進課ホームページをご覧ください。https://www.pref.okayama.jp/site/presssystem/756470.html
次回の第170号は2022年3月初旬に配信予定です。