2021年8月2日(月)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第163号」です。
1.相談員便り
コロナ禍のステイホームで、にわか趣味の話をひとつ(大月健郎)
コロナ禍のステイホームで、にわか趣味の話をひとつ。
今年の三月頃にインク沼という言葉を聞き、「なんのこと?」と思っていた。ネットで少し調べてみると、高価なインク?、タミヤの小瓶?、スポイド?、注射器?、自分で調合?、ガラスペン?、訳がわからない。思い切ってうさぎやに行くと、「うさぎやオリジナルインク」なる物が陳列されていた。赤とか緑とか茶色のインクで何を書く?と、あまり興味はなかった。
少し筆記用具に興味が湧いて、調べてみると、実用的な筆記用具としての万年筆はあらゆる面で劣っていて、早晩無くなる運命という。自分自身はもう40年間忘れ去っていた万年筆という物が「失われてしまう」と知ると、俄然と保存欲求がこみ上げ、万年筆収集が始まった。万年筆の世界は、モンブランとペリカンが鉄板で、その他クロス、パーカー、ウォーターマン、さらにいろいろなブランドがあるらしい。カジュアルデザインのラミーも人気がある様だ。国産品も、セーラー、パイロット、プラチナと老舗が並ぶ。
国産を中心に、手軽な万年筆を10本ほど買って、父親の形見のモンブランを超音波洗浄機で洗い、インクを入れて比べてみた。
ペン先の材質はやはり金の方が滑らかな気がするが、メーカー毎の特徴があるため実際に書いてみないとわからない。軸の材質は金属のほうが剛性感や高級感があるが、指先のフィット感とか軽さを求めるなら合成樹脂も捨てがたい。書き味を中心に考えると重さは20g前後くらいが良さそうだが、筆記時の重量バランスも大事だ。軸の太さも、太いもの細いものがあるが、太すぎるのは趣味に合わない。デザイン性や物語性があるともっと嬉しい。
素人判断だが、独断と偏見で選んだベストスリーを発表する。
3位:パーカー51(復刻モデル)、ペン先はステンレス、軸色はティールブルーでキャップは銀色。これはデザインが好きでランクイン。絶妙のフーデッドニブと流線型の軸は1940年台に戦闘機をイメージしてデザインしたと言う。色もマガモの青緑色でレトロ感を引き立てている。実用上も重心がややリヤヘビーだが重さが26gに抑えられているので持ちにくくはない。鉄ペンなので滑る様な書き味ではないが、そのことでむしろペン先の制動が効いて字が書きやすい。
2位:パイロットエリート95s、ペン先は14金、軸色はディープレッドでキャップはシャンパンゴールド。重量は15g。昔流行ったモデルの復刻版。ペン先が最近の主流となっている芯に巻き付けた様なタイプではなくて、首部に貼り付けた様な形で今では特徴的。しかもペン先が金でサイズが大きいためしなりは素晴らしい。書き味は柔らかくてイングの流れが良くて、まるで昔のモンブラン320系(ペン先18金)の様にサラサラ書ける。 収納時は短く筆記時には普通のサイズとなる合理的な設計。
1位:セーラープロフィットスタンダード、ペン先は14金、軸もキャップも黒の樹脂製、金属部分は金メッキ、イカ型のペン先には模様が入っていて高級感と本物感がある。重量は20g。書き味はパイロットエリートがサラサラとすれば、こちらはサリサリと言う感じでほんの少しざらつきを感じる、そのために万年筆で書いている感覚を指先に感じ、さらに紙とペン先が擦れる音も良い。もちろんインク切れなど起きない。万年筆のザ・スタンダードと言える。
万年筆ばかり集めて何に使うの?と言われるけど、天声人語の書写しをしています。
メンタルヘルス不調で療養された方の上司へ推奨する図書(濱本貴史)
「なぜ部下とうまくいかないのか 組織も人も変わることができる(加藤洋平)」のススメ
私が勤務する企業では、特にメンタルヘルス不調者が療養から職場へ復帰する際に、その療養者の職制にマネメジメント意識(特に部下とのコミュニケーションや育成)の気づきにつながることを意図し、療養者対応される職制にこの本を推奨している。
この内容を「相談員便り」に選んだのは、これを読んでいる他企業の皆様にも参考になると感じたからである。簡単ではあるが、当方の学びを共有させていただくこととした。
内容は部下の育成に悩みを感じている課長と人材育成コンサルタントとのワインバーでの会話調で簡潔に書かれており、1〜2日程度で読める分量となっている。各意識段階の特徴、それぞれの段階での接し方について簡潔に言及され、アクションに繋げやすい。
成人発達理論とは、「知識やスキル(水平方向の成長)を発動させる根幹部分の知性や意識(垂直方向の成長)そのものが、一生をかけて成長・発達を遂げる」という考え方のもと、人の成長・発達プロセスやそのメカニズムを解明する学問領域である。「発達段階(後にいくつか紹介する)の下のものは、それよりも上の発達段階の考えや発言は理解できない」というのも”なるほどなあ”と感心した。特に、発達段階2、3ではメンタルヘルス不調者の特徴を面白いほどそのまま記載しており、職制の行動変容につながる可能性があると感じた。
本書で解説されている意識段階の特徴
・発達段階2「利己的」
この段階にいる人は、自己中心的な認識の枠組みを持っており、自分の関心や欲求を満たすために、他者を道具のようにみなす。また、自分の世界と他者の世界を真っ二つに分けて考えるため、相手の立場に立って物事を考える力が不十分である。
→不調者でよく見られる他責傾向、極端な思考等がこれにあてはまる。この段階に該当される方は、不調に陥りやすい印象がある。
・発達段階3「他者依存」
周りの他者や所属集団の意思決定基準に沿って行動する段階であり、相手の立場に立って考えるという優れた特性を獲得できているものの、自分独自の価値体系が十分には構築されていない。そのため、自分の意見を表明することが難しく、いわゆる「指示待ち人間」に近い。成人の7割がこの段階の特性を持っているという。
→不調者でよくある受け身で人から指示されてから動き出す、職場復帰がゴールとなり、復帰後のことに目が向いていないなどの特徴が該当するように思う。この意識段階の方は、発達段階2ほどは不調となりやすくはないが、一部体調不良に陥ることがある印象。
・発達段階4「自己主導」
自分なりの価値体系や意思決定基準が生まれ、自律的に行動できる状態を指し、内省的な問いを発することで、自分自身を合理的に律することができる。
→不調者では、この段階以上となるとほぼいない印象である。更には発達段階が高ければ高いほど、複雑な状況でも適応し、活力高く活躍していると感じている。
昨今の従業員の活力を目標とする健康経営において、成長を通じて意識段階を高める(適応力を高める)ことが活力を高めることに通じるという点で私の興味を引いた。
また、ヒューマンエラーを主要因とした労働災害についても、労働者の意識段階を成長させることにより、主体的に考え行動できる人材につながり、労災を防ぎ得ると感じられる。これらを記載すると莫大になるので、今回は簡単な紹介に留めるが、この意識段階の成長は、企業内、さらにはエンゲージメント、Well-being、人としての幸福に通じるものと感じている。
このメールマガジンを読まれて興味を持ったなら、まずは自身で本書を読むことをおすすめする。ただし、本書を職域で活用する際には、タイトル名が過激なだけに、伝え方によっては、職制に指摘のように捉えられることがあるので、導入時には注意深く伝えていただきたい。
2.研修会のご案内
新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。
《ピュアリティまきびで開催する研修会》
●8/17(火)14:00~15:30
『働き方改革の中で、「仕事と治療の両立支援」をどのように位置づけるか』
→働き方改革を進めるうえで、「仕事と治療の両立支援」に取り組む必要性、メリット、留意点、進め方等を事例を交えて検討します。
●8/19(木)15:00~16:30
『職場のメンタルヘルス対策体調不良者早期発見のポイント』
→メンタルヘルス不調者の対応は難しいと言われることが多いです。対応が難しくなる理由を明確にし、シンプルな早期発見のポイントをお伝えします。※グループワーク実施予定
●8/25(水)14:30~16:00
『コロナ禍におけるストレス対策について』
→ストレスを溜めない受け止め方とは?ストレス対処法とは?セルフケアとは?何かヒントになるお話が出来ればいいと思います。
●8/27(金)13:15~14:45
『初めてでもわかる健康診断(基礎知識と事後措置)』
→労働衛生管理において健康診断を実施し事後措置を講ずることは、事業者が安全配慮義務を果たす上でもきわめて重要です。定期健康診断に関する基礎知識に関して初めての方でもわかるように解説します。また健康診断項目の「血圧測定」に関しては、その管理が特に重要であると考えられるため少し詳しくお話しします。
《YouTubeで視聴する研修会》
●☆新規追加☆ 8/30(月)
『アルコールの健康影響と対策』
→職場でのアルコールの問題は、労働者の安全および衛生の両面で重要な課題です。アルコールによる健康影響を知り、より早期の依存症予防対策を考えるきっかけとします。(120分)
《Zoomで参加する研修会》
●8/26(木)16:15~17:00
『モジュール構成による新型研修シリーズ5/12』
→(1)産業保健活動のオンライン化
(2)シナリオ「合理的配慮」
(3)「適応障害でも原職復帰か?」「5分の遅刻と5分の残業」
研修日1週間前から講義の動画をYouTubeにて配信しますので、ご視聴ください。研修会当日、16:15~17:00にZoomミーティングにて質疑応答を行います(動画未視聴の方向けに15:30~16:15にZoomにて動画を公開します)。
《産業医研修会:アスベスト疾患研究・研修センター開催》
●8/5(木)14:00~18:00
『石綿関連疾患診断技術研修』専門2単位、実地2単位
→石綿関連疾患について、石綿に関する一般的知識、石綿ばく露歴の把握方法、石綿による労災疾病の労災補償制度についての研修及び石綿関連疾患に関する胸部画像の読影診断技術研修を実施。当該疾患の早期診断を図るとともに労災請求へつなげ、被災者の早期救済を促進する。※対象:産業医
次回の第164号は2021年9月初旬に配信予定です。