2021年11月1日(月)に配信された「岡山さんぽメールマガジン第166号」です。
1.相談員便り
『風の時代』における産業医の役割について(道明道弘相談員)
『風の時代』は2020年12月22日から本格的に始まったと言われています。したがって、2021年は、西洋占星術では『風の時代』の始まりの年と言われます。西洋占星術では、約20年に1度起きる木星と土星の大接近を「グレートコンジャンクション」といい、時代の節目となります。そして、この時代は約200年ごとに、エレメントを変えるという特徴があり、この世を構成する元素で定義されています。
その元素は「火」・「土」・「風」・「水」の4種類。12星座を4つに分けたエレメントのことを指しています。『風の時代』の前は、『土の時代』です。『土の時代』の始まりは今から220年前頃。『火の時代』から『土の時代』へと変わった18世紀末の転換期には、産業革命が起こりました。武力が支配していた時代が終わり、経済力そのものが世を動かす資本主義の時代へと移ったのです。会社や組織、学歴やブランド、物質や資産などが力を持つのが『土の時代』でした。産業衛生で言えば、産業革命により公害や労働災害などが起こり、さらに「心の時代」と言われる21世紀では「メンタルヘルス不調」が大問題となっています。
我々がこれから生きていく『風の時代』は、「風」が目に見えないように、「情報や知識」など「形のないもの」、「伝達や教育など」が重視され、人々は何より「知る」ことを求めていくことになると言われています。つまり、今後は、「知性・コミュニケーションなど」、「形のないもの」が意味を持つようになり、「想像力」、「思考力」が重要視されたり、「柔軟性」が必要になると言われています。そして「自分の好きなこと」や、「やりたいこと」に「素直に行動すること」が大切な時代になります。『風の時代』に価値をもつものは、「オリジナリティ」、「センス」、「情報」、「波長」など、「流れているもの」や「目にみえないもの」です。新しい『風の時代』の新しい価値観に対応することを、私たちは否応なしに求められています。
最近のウィズコロナ時代の「ウェブ会議」や「オンライン講義」など、すでに『風の時代』の兆候は始まっているようですね。ただし、ウェブ会議等が増えると、今でも人間関係が希薄となっているのがさらに希薄化し、「メンタルヘルス対策」には、あまり良くありません。私が、NPO法人岡山コーチ協会理事長として、いつも「コーチング」の講演していますが、特に、「メンタルヘルス対策におけるコーチングの有用性」は、究極の『心の時代』である『風の時代』になって、益々重要になると思います。さらに、「知・コミュニケーション・個人・人との協調」などが重視される『風の時代』に生きているということを意識することで、今までの産業保健、産業医学は、もちろん、大切ですが、その上に、それらの新しい価値観を付加することにより、今後の産業医の役割は、『風の時代』には益々重要になるものと思います。
新型コロナが「言葉でのコミュニケーション」に与えた影響(結縁晃治相談員)
相談員をさせていただいています耳鼻咽喉科医の結縁晃治です。私は日本耳鼻咽喉科学会の騒音性難聴担当医ですので、主に騒音職場での騒音性難聴についての講演・相談をさせていただいておりますが、それ以外の聴覚や耳鼻咽喉科領域での産業保健のご相談もおうけしております。
新型コロナウィルス(COVID19)感染流行は社会にいろいろな影響を及ぼしていますが、言葉でのコミュニケーションにも多くの影響を及ぼしています。家族以外で話をするときはマスク着用が原則となったことにより、相手の口の動きが見えないので、聴力が低下している方は、対面の会話で言葉の聞き取りが悪くなり不自由を感じておられる方が多いようです。特に聴覚障害をお持ちの方で手話や筆談などより、相手の口を読むことにより言葉を理解していた方はお困りのようです。また多くの接客窓口、スーパーのレジなどでは、飛沫感染を防ぐためのビニールシートやアクリル板が設置され、相手にとどく声の音量が小さくなってしまうので、聞き取りが悪くなり業務に支障がでたり、窓口担当者もお客さんもストレスが貯まるといった事例も多くあるようです。
聞こえが悪い方への対応は「少し大きな声で、ゆっくり話す」が基本です。大きな声を張り上げると、音が割れてしまい、かえって言葉の聞き取りは低下します。相手が聞こえないからといって大声を張り上げたのでは、飛沫感染のリスクも増大します。こういう時期だからこそ、もう一度少し聞こえの悪い方への話し方について考えてみてはどうでしょうか?
2.研修会のご案内
新型コロナウイルス感染症の感染リスクに十分配慮して「三つの密(密閉・密集・密接)」を避ける対策を講じた上で、研修会を開催しています。
《ピュアリティまきびで開催する研修会》
●11/11(木)13:30~15:30『職場巡視の目のつけどころ』
→職場巡視の際、産業医はどこを指摘するのか、その指摘にどう応えたらよいのか悩むといった声を聞きます。産業保健実践の知識の整理と具体的な取組み事例を検討し、職場巡視のポイントと職場改善を一緒に考えていきましょう。
●11/15(月)10:00~11:30『ここまでわかったコロナと対策』
→講演時点での知見まとめ、産業保健現場での対応についてお話します。※後日(11/30)、YouTube配信あり
●11/17(水)14:30~16:00『大人の発達障害について』
→大人の発達障害の基礎的なことについて説明します。また、職場における事例を提示、それについての検討を行います。
●11/18(木)14:00~15:30
『職域における過労死等防止・健康起因事故防止対策について』
→過重労働を背景とした交通事故や過労自殺はどんな業種にも関係することです。重大な事故を引き起こさないため事業者の取組をわかりやすく説明します。※後日(12/2)、YouTube配信あり
●11/26(金)13:15~14:45
『健康寿命の延伸も目指した健康管理(総論と高血圧)』
→職場における「健康保持増進活動」を推進していくことは、健康日本21の基本的な方向のひとつでもある「健康寿命の延伸」にもつながります。健康診断を契機に食事、運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣をなるべく早い時期に見直すことが重要です。今回は「健康寿命の延伸」に関する総論的な事項と各論として高血圧の食事運動療法などを中心に解説します。※後日(12/10)、YouTube配信あり
《YouTubeで視聴する研修会》
●11/2(火)『国境を越える産業保健 入門編』(講義90分)
→海外赴任者・出張者や外国人労働者の産業保健について、初心者や学生の皆さんを視野にわかりやすく話します。※10/20と同内容(90分)
●11/4(木)『職域におけるメンタルヘルス対策とコーチングの有用性について』(講義90分)
→メンタルヘルス対策におけるストレス対策の一環として、コーチングの有用性について、具体例をあげて分かりやすく解説します。※10/21と同内容
●11/16(火)『新型コロナウィルス感染症による日常生活のストレスマネジメント』(講義90分)
→新型コロナウィルス感染症の影響によって私たちの生活は大きな変化を強いられました。今までできたことができず、新しい環境への適応する事態が続いています。変化は多くの人にとって少なからずストレスになります。日ごろからストレスへの対応は重要と言われていますが、現在の状況下で実現可能な個人に合うストレスマネジメントについて一緒に考えていきましょう。
●11/24(水)『情報機器作業における労働衛生管理に必要なこと』
(講義90分)
→現代では多くの方々が使用しています。健康障害が起こらないような実施方法について紹介したいと思います。
●11/29(月)
『衛生委員会、有効活用できていますか?』(講義90分)
→常時50人以上の労働者を使用する事業場には衛生委員会の設置義務があり、皆さんの職場にも該当する場合は設置していると思います。衛生委員会は労働者の健康障害の防止や健康の保持増進に関する取り組みなどの重要事項について、労使一体となって調査審議を行う場です。ともすればマンネリになりがちな衛生委員会を活性化して意義あるものにするヒントについてお話したいと思います。
●11/30(火)『ここまでわかったコロナと対策』(講義90分)
→11/15と同内容(90分)
《Zoomで参加する研修会》
●11/9(火)13:30~15:00『メンタルヘルス対策導入研究会4』
→満席です。
●11/25(木)16:15~17:00
『モジュール構成による新型研修シリーズ8/12』
→(1)過重労働総論、(2)希望テーマ(受付中)、(3)面接シナリオ「復帰予備判定」
研修日1週間前から講義の動画をYouTubeにて配信しますので、ご視聴ください。研修会当日、16:15~17:00にZoomミーティングにて質疑応答を行います(動画未視聴の方向けに15:30~16:15にZoomにて動画を公開します)。
3.産業医研修会(2021年12月19日)
日時:12月19日(日)13:30~16:40
場所:岡山県医師会館 三木記念ホール
1.テーマ『ストレスチェック制度「おさらい」とその後の動向-オンラインによる面接指導を含め-』
講師:勝田吉彰(関西福祉大学社会福祉学部 教授)
単位:生涯研修(専門1.5単位)
内容:ストレスチェック制度の基本を確認し、法施行から6年経過した最近の動き(オンラインによる面接指導の注意点等)もお伝えします。
2.テーマ『職業性粉じん吸入による疾病とその対策』
講師:岸本卓巳(アスベスト疾患研究・研修センター所長)
単位:生涯研修(専門1.5単位)
内容:日本における粉じん作業は一時減少したが、産業構造の変化によって近年は増多の一途をたどっています。一方、粉じん吸入による呼吸器疾患は減少傾向にありません。本講では粉じん吸入による疾患の紹介と予防として電動ファン付き防じんマスクの有用性について述べます。
申込はこちら(申込み開始:11月8日(月)午前8時30分、開始時刻になりましたら、アクセスできるようになります)
https://okayamas.johas.go.jp/2021-1219/
次回の第167号は2021年12月初旬に配信予定です。