労働安全衛生法は、1人以上の労働者を使用する事業場に適用されますが、常時50人以上使用する事業場のみに適用されるものもあります。

岡山産業保健総合支援センターには、規模50人以上の事業場で行わなければならない労働安全衛生法の規定について相談されることがあります。

そこで、今回の労働衛生コラムでは、規模50人以上の事業場に適用される労働安全衛生法について説明します。

(2022年7月)

“常時50人以上使用する事業場”とは

労働安全衛生法では、事業場を単位として適用されます。「事業場とは、工場、事務所、店舗のように一定の場所において相関連する組織の下に継続的に行われる作業の一体をいう。したがって、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは、原則として別個の事業場とするものである。」という解釈があります。

また、常時50人以上使用するとは、日雇い労働者、パートタイマーなど臨時的な労働者を含めて、常態として使用する労働者が50人以上であることをいいます。

労働安全衛生法上の事業場の考え方については、昭和47年9月18日発基第91号「労働安全衛生法の施行について」[PDF 88KB]を参照してください。

安全衛生管理体制

【1】総括安全衛生管理者

(1) 総括安全衛生管理者を選任すべき事業場

下表に掲げる業種、規模の事業場は、総括安全衛生管理者を選任しなければなりません。

業種事業場規模
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業100人以上
製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業300人以上
その他の業種1000人以上

(2) 総括安全衛生管理者の職務

次の業務を統括管理すること。

  1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
  2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
  3. 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
  4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
  5. 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
  6. 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
  7. 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。

(3) 総括安全衛生管理者の資格

事業場においてその事業の実施を統括管理する者

【2】安全管理者

(1) 安全管理者を選任すべき事業場

下表に掲げる業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用する事業場は安全管理者を選任しなければなりません。

業種林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

(2) 安全管理者の職務

ア 次の業務のうち安全に係る技術的事項を管理すること。

  1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
  2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
  3. 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
  4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
  5. 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
  6. 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
  7. 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。

イ 作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちに、その危険を防止するため必要な措置を講じること。

(3) 安全管理者の資格

ア 次のいずれかに該当する者で、上記(2)のアの職務に必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるもの(安全管理者選任時研修)を修了したもの

  1. 学校教育法による大学又は高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る。)若しくはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は当該課程を修めて同法による専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
  2. 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

イ 労働安全コンサルタント

ウ 前2号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者(中央労働災害防止協会安全衛生情報センター)

(4) 安全管理者の選任

ア 安全管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。

イ 事業場に専属の者を選任しなければなりません。
ただし、2人以上の安全管理者を選任する場合において、安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、そのうち一人については、専属でなくてもかまいません。

ウ 特殊化学設備を設置する事業場であって、所轄都道府県労働局長が指定する事業場は、当該都道府県労働局長が指定する生産施設の単位について、操業中、常時、上記(2)のアの職務を行うのに必要な数の安全管理者を選任しなければなりません。

エ 次の表の業種・規模の事業場は、安全管理者のうち少なくとも1人を専任の安全管理者としなければなりません。
ただし、表の4の業種にあっては、過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限ります。

業種 規模
1 建設業 300人以上
有機化学工業製品製造業
石油製品製造業
無機化学工業製品製造業
2 化学肥料製造業 500人以上
道路貨物運送業
港湾運送業
3 紙・パルプ製造業 1000人以上
鉄鋼業
造船業
4 林業、鉱業、上記以外の運送業、清掃業、上記以外の製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業 2000人以上

【3】衛生管理者

(1) 衛生管理者を選任すべき事業場

常時50人以上の労働者を使用する事業場(すべての業種)は、衛生管理者を選任しなければなりません。

(2) 衛生管理者の職務

ア 次の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理すること。

  1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
  2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
  3. 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
  4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
  5. 安全衛生に関する方針の表明に関すること。
  6. 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
  7. 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。

イ 少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じること。

(3) 衛生管理者の資格

ア 衛生管理者免許を受けた者
イ 医師
ウ 歯科医師
エ 労働衛生コンサルタント
オ 教育職員免許法第4条の規定に基づく保健体育若しくは保健の教科についての中学校教諭免許状若しくは高等学校教諭免許状又は養護教諭免許状を有する者で、学校教育法第1条の学校に在職する者(常時勤務に服する者に限る。)
カ 学校教育法による大学又は高等専門学校において保健体育に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務に服する者に限る。)

Point
安全管理者は、一定の学歴、実務経験年数と安全管理者選任時研修で資格がとれますが、衛生管理者は一般に免許試験に合格する必要があります。

事業場においては、衛生管理者の有資格者の退職により、衛生管理者が不在となるケースや資格者が管理する立場にない者しかおらず、名ばかりで、衛生管理者としての職務を果たしてないケースが散見されます。

計画的な衛生管理者の有資格者の確保が望まれます。

(4) 衛生管理者の選任

ア 衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。
イ その事業場に専属の者を選任しなければなりません。ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、当該者のうち1人については、専属でなくてもかまいません。
ウ 次に掲げる業種の区分に応じ、それぞれに掲げる者のうちから選任しなればなりません。

業種資格
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業・第一種衛生管理者免許を有する者
・衛生工学衛生管理者免許を有する者
・上記「(3)衛生管理者の資格」のイ~カの者
その他の業種・第一種衛生管理者免許を有する者
・第二種衛生管理者免許を有する者
・衛生工学衛生管理者免許を有する者
・上記「(3)衛生管理者の資格」のイ~カの者

エ 次の表の事業場の規模に応じて、「衛生管理者数」に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。

事業場の規模(常時使用する労働者数)衛生管理者数
50人以上200人以下1人
200人を超え500人以下2人
500人を超え1000人以下3人
1000人を超え2000人以下4人
2000人を超え3000人以下5人
3000人を超える場合6人

オ 次に掲げる事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければなりません。

  1. 常時1000人を超える労働者を使用する事業場
  2. 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条各号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの

カ 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働又は労働基準法施行規則第18条第1号、第3号から第5号まで若しくは第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させるものにあっては、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。

労働基準法施行規則第18条
1.多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
2.多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
3.ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
4.土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
5.異常気圧下における業務
6.削岩機、鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務
7.重量物の取扱い等重激なる業務
8.ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
9.鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気又はガスを発散する場所における業務
10.前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務

【4】産業医

(1) 産業医を選任すべき事業場

常時50人以上の労働者を使用する事業場(すべての業種)は、産業医を選任しなければなりません。

(2) 産業医の職務

ア 次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするもの。

  1. 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  2. 長時間労働者に対する面接指導並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  3. 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施並びに面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
  4. 作業環境の維持管理に関すること。
  5. 作業の管理に関すること。
  6. 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
  7. 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
  8. 衛生教育に関すること。
  9. 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

○1~9の事項について、産業医は、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができます。

イ 産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じること。

① 衛生管理者が行う巡視の結果
② 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であって、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

(3) 産業医の資格

ア 厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者
イ 産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者
ウ 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者
エ 大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

(4) 産業医の選任

ア 産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。
イ 次に掲げる者(1及び2にあっては、事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。)以外の者のうちから選任しなければなりません。

  1. 事業者が法人の場合にあっては当該法人の代表者
  2. 事業者が法人でない場合にあっては事業を営む個人
  3. 事業場においてその事業の実施を統括管理する者

ウ 常時1000人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場にあっては、その事業場に専属の者を選任すること。

  1. 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  2. 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  3. ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
  4. 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  5. 異常気圧下における業務
  6. さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
  7. 重量物の取扱い等重激な業務
  8. ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  9. 坑内における業務
  10. 深夜業を含む業務
  11. 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、苛性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  12. 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
  13. 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
  14. その他厚生労働大臣が定める業務

エ  常時3000人を超える労働者を使用する事業場にあっては、2人以上の産業医を選任しなければなりません。

(5) 事業者の情報提供

事業者は、産業医に対し、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な次の情報を提供しなければなりません。

ア ①健康診断、②長時間労働者に対する面接指導、③ストレスチェックに基づく面接指導実施後の既に講じた措置又は講じようとする措置の内容に関する情報(措置を講じない場合は、その旨・その理由)

提供時期:①~③の結果についての医師又は歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく提供すること。

イ 時間外・休日労働時間(高度プロフェッショナル制度対象労働者については、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間)が1月当たり80時間を超えた労働者の氏名・当該労働者に係る当該超えた時間に 関する情報

提供時期:当該超えた時間の算定を行った後、速やかに提供すること。

ウ 労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの

提供時期:当該超えた時間の算定を行った後、速やかに提供すること。

(6) 産業医の権限

○ 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。この場合において、事業者は、産業医の勧告を尊重しなければならなりません。

事業者は、産業医の勧告を受けたときは、勧告を受けた後遅滞なく、勧告の内容、勧告を踏まえて講じた措置又は講じようとする措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければなりません。

○ 事業者は、産業医が勧告をしたこと又は総括安全衛生管理者に対する勧告、衛生管理者に対する指導若しくは助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければなりません。

○ 産業医は、安全衛生委員会等に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができます。

Point
平成30年の労働安全衛生法の改正で、産業医・産業保健機能が強化されました。

改正の内容は、
産業医の活動環境の整備として、

○ 産業医の独立性・中立性の強化
○ 産業医への権限・情報提供の充実・強化
○ 産業医の活動と衛生委員会等との関係の強化

そして、健康相談の体制整備、健康情報の適正な取扱いです。

詳しくは、厚生労働省HPで確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf [PDF 1,688 KB]

(7) 産業医の辞任・解任報告

事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければなりません。

【5】安全衛生委員会

(1) 安全委員会

下の表の業種、規模の事業場は、安全に関する事項を調査・審議する安全委員会を設けなければなりません。

業種事業場規模
林業、鉱業、建設業、製造業のうち木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業、運送業のうち道路貨物運送業及び港湾運送業、自動車整備業、機械修理業、清掃業50人以上
上記以外の製造業(物の加工業を含む。)、上記以外の運送業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業100人以上

ア 調査・審議する事項

  1. 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
  3. 安全に関する規程の作成に関すること。
  4. 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
  5. 安全衛生に関する計画(安全に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  6. 安全教育の実施計画の作成に関すること。
  7. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は産業安全専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の危険の防止に関すること。

イ 委員の構成

  1. 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
  2. 安全管理者のうちから事業者が指名した者
  3. 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

○ 安全委員会の議長は、上記①の委員がなります。
○ 議長以外の委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。
※上記○については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用されません。

ウ 委員会の会議

○ 安全委員会は、毎月1回以上開催するようにしなければなりません。
○ 事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によって労働者に周知させなければなりません。

  1. 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

○ 委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。

  1. 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
  2. その他委員会における議事で重要なもの

(2) 衛生委員会

常時50人以上の労働者を使用する事業場は、安全に関する事項を調査・審議する衛生委員会を設けなければなりません。

ア 調査・審議する事項

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
  4. 衛生に関する規程の作成に関すること。
  5. 危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
  6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  7. 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  8. 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  9. 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
  10. 定期健康診断、臨時の健康診断、自発的健康診断及び労働安全衛生法法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
  11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
  12. 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
  14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

イ 委員の構成

  1. 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
  2. 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
  3. 産業医のうちから事業者が指名した者
  4. 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

○ 衛生委員会の議長は、上記1の委員がなります。
○ 議長以外の委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。

※上記○については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用されません。

○ 作業環境測定を実施している作業環境測定士(労働者に限る)を委員として指名することができます。

ウ 委員会の会議

○ 衛生委員会は、毎月1回以上開催するようにしなければなりません。
○ 事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によって労働者に周知させなければなりません。

  1. 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

○ 委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。

  1. 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
  2. その他委員会における議事で重要なもの

Point
衛生委員会、安全衛生委員会では、産業医が委員となっていますが、委員会の会議に産業医がほとんど参加していない事業場が見受けられます。

会議への委員参加の頻度等についての規定はありませんが、できるだけ委員全員が参加できるよう工夫する必要はあります。

(3) 安全衛生委員会

事業場で安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができます。

ア 調査・審議する事項

安全衛生委員会で調査・審議する事項は、安全委員会、衛生委員会で調査審議すべき事項です。

イ 委員の構成

  1. 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
  2. 安全管理者及び衛生管理者のうちから事業者が指名した者
  3. 産業医のうちから事業者が指名した者
  4. 労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
  5. 労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

○ 安全委員会の議長は、上記1の委員がなります。
○ 議長以外の委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければなりません。

※上記○については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用されません。

○ 作業環境測定を実施している作業環境測定士(労働者に限る)を委員として指名することができます。

ウ 委員会の会議

○  安全衛生委員会は、毎月1回以上開催するようにしなければなりません。
○  事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によって労働者に周知させなければなりません。

  1. 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

○ 委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを3年間保存しなければなりません。

  1. 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
  2. その他委員会における議事で重要なもの

安全管理体制に関する解釈に関しては、昭和47年9月18日基発第602号「労働安全衛生法および同法施行令の施行について」[PDF 58.1 KB]、昭和47年9月18日基発第601号の1「労働安全衛生規則の施行について」[PDF 84.1 KB]を参照してください。

ストレスチェック制度

ストレスチェックは、「心理的な負担の程度を把握するための検査」のことで、ストレスチェック制度は、平成27年の労働安全衛生法の改正により義務付けられた制度です。

常時50人以上の労働者を使用する事業場は、1年以内ごとに1回、定期に、ストレスチェックを行わなければなりません。

ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として面接指導が必要と評価された労働者から申し出があったときは、医師による面接指導を行うことが事業者の義務となります。

また、事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の所見を勘案し、必要があると認めるときは、就業上の措置を講じる必要があります。

更に、実施者は職場の一定規模の集団(部、課など)ごとにストレスチェック結果を集計・分析し、これを事業者に通知して、事業者は分析の結果を踏まえ、職場環境を改善することが、努力義務とされています。

規模50人以上の事業場のみに、報告が義務付けられているもの

規模50人以上の事業場のみに、報告が義務付けられているものがあります。報告書の様式は、厚生労働省のホームページに掲載されています。

安全衛生関係主要様式(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei36/index.html

安全衛生管理体制

総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医を選任したときは、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に選任報告をしなければなりません。

健康診断

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断を行なったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第6号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。

ストレスチェック

常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第6号の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。